王毅・中国外相がインド訪問、外相会談で両国間の協力強化強調
(中国、インド)
武漢発
2025年08月26日
中国の王毅・中国共産党中央政治局委員兼外交部長(外相)は8月18日、ニューデリーで、インドのスブラマンヤム・ジャイシャンカール外相と会談した。中国外交部の発表によると、会談で両国間の協力強化や直行便の再開など、10項目のコンセンサスと成果を得たとしている。主な内容は次のとおり。
- 中国は、インドのナレンドラ・モディ首相の上海協力機構(SCO、注)天津サミットへの出席を歓迎する。
- 各種の政府間の2国間対話と交流メカニズムの再開を検討し、協力を強化し、互いの関心事項に配慮しつつ、両国間の意見の相違を適切なかたちで調整する。
- 中国本土とインド間の直行便を可能な限り早期に再開し、両国の民間航空輸送協定を改定することに合意した。また、観光、ビジネス、メディアなどの活動に従事する両国関係者の人員往来に対して、ビザの便宜を図る。
- 両国の経済、貿易、投資の流動性に配慮し、具体的な措置を講じて便宜を図る。
インド現地では、今回の会談で王外相がインド向けの肥料、レアアース、トンネル掘削機の輸出制限を解除したと伝えたとの報道があった(2025年8月22日記事参照)。報道の真偽に関して、中国外交部の毛寧報道局長は8月19日の記者会見で「報道については承知していないが、中国は関係国・地域との対話と協力を強化し、世界の産業・サプライチェーンの安定維持を望む」と述べた。
王外相、モディ首相との会見でも協力関係強調
また、王外相は19日、ナレンドラ・モディ首相と会見を行った。王外相は、両国は2024年10月にロシア・カザンで行われた両国首脳会談(2024年11月26日記事参照)でのコンセンサスを実施し、2国間関係を改善・発展の新たな段階に推し進めていくとして、両国関係の改善、協力関係の発展を強調した。加えて、両国間で各分野の対話メカニズムを再開し、互恵協力を深化させ、多国間主義を堅持するとともに、世界的な課題に対して協力して取り組み、特定国による覇権的行為に反対することで一致したと述べた。
中国とインドの関係は、かねて抱える国境問題に加え、2020年にインド北部ラダック地方で発生した軍事衝突を理由に、冷え込んでいた。しかし、2024年10月に約5年ぶりに両国首脳会談が開催されたほか、7月のインド外相による中国訪問(2025年7月18日記事参照)や今回の会談開催など、関係改善の動きが見られる。
(注)2001年設立の地域協力組織。中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンによって設立された後、インド、パキスタン、イラン、ベラルーシが加盟した。2025年のサミットは8月31日から9月1日の2日間、中国・天津市で開催を予定している。
(西島和希)
(中国、インド)
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