米、ウクライナ、欧州首脳ら、ウクライナの安全の保証やロシア含めた首脳会談を議論

(ウクライナ、米国、ロシア、欧州)

調査部欧州課

2025年08月21日

8月15日に実施された米ロ首脳会談(2025年8月19日記事参照)に続き、米国とウクライナの首脳会談と、ドイツやフランス、英国、イタリア、フィンランドの5カ国とEU、NATOも交えた首脳会談が18日に米国の首都ワシントンで実施された(2025年8月20日記事参照)。

米国のドナルド・トランプ大統領とウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領の会談では、ウクライナの安全の保証と、ロシアによって捕らえられた戦争捕虜や子供の帰還に焦点が充てられた。ゼレンスキー大統領は、米国が欧州などとともにウクライナの安全の保証に参加する意向を示したことは大きな前進だと述べた。一方、トランプ大統領は、米国がウクライナに提供する安全の保証の具体的内容は明らかにしていない。

両国に加えて、欧州首脳らも参加した会談では、欧州、有志連合、米国が協力するかたちでウクライナの安全を保証する具体的プロジェクトや、ロシアを含んだ首脳会談実施の重要性などについて議論した。

協議に先んじて、トランプ大統領は記者団に対し、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がアラスカの米ロ会談で(米国と欧州が共同で提供する)ウクライナの安全の保証について受け入れたこと(注)に言及し、欧州首脳らとの協議では誰が何を担うのか、具体的内容を議論すると述べた。「欧州が多大な負担を被るが、米国はそれを支援する」と米国の立場を表明した。

欧州首脳らとの協議の途中、トランプ大統領はプーチン大統領に電話し、米国、ロシア、ウクライナの3カ国首脳会談を提案した。ウクライナ大統領府の発表(8月19日)によると、ロシア側は、まずロシアとウクライナの2国での会談を実施し、その後に3カ国会談を提案したと述べた。米ロの電話会談について、ロシア国営タス通信は19日、ロシアのユーリー・ウシャコフ大統領補佐官の記者会見での発言として、トランプ大統領とプーチン大統領は約40分間の電話会談で、ウクライナとロシアの直接交渉の継続を支持し、交渉団のレベルの引き上げを検討すべきだという考えが議論されたと報じており、プーチン大統領の交渉参加は言及されていない。

トランプ大統領は自身のSNSで18日、ロシアとウクライナの首脳会談、米国を含めた3カ国首脳会談に向けた調整を始めたと投稿した。

(注)米国のスティーブ・ウィトコフ中東特使は17日、米CNNに対し、アラスカの米ロ会談でロシアのプーチン大統領は米国と欧州が共同で北大西洋条約第5条(集団防衛)に似たかたちでウクライナの安全を保証することに同意したと語った。

(柴田紗英)

(ウクライナ、米国、ロシア、欧州)

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