米ロ首脳会談、紛争終結に向けた具体的な合意には至らず

(米国、ロシア、ウクライナ)

調査部欧州課

2025年08月19日

米国のドナルド・トランプ大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領は8月15日、米国のアラスカ州にあるアンカレジで、ウクライナでの紛争を解決することを目的とする米ロ首脳会談を実施した。会談は非公式のかたちで約3時間にわたって行われたが、紛争の終結に向けた具体的な合意には至らなかった。

会談終了後には、共同記者会見が開かれた。両首脳は交渉の結果を前向きに評価し、今後も対話を継続する意向を示すとともに、次回の会談開催も視野に入れている。トランプ大統領は、対話が「非常に生産的だった」と述べたが、プーチン大統領は「根本的な原因の除去が必要」と従来の立場を強調した。トランプ大統領は、いくつかの重要な項目で合意に至らなかったことを認めたが、詳細については明らかにしていない。トランプ大統領はFOXニュースのインタビュー(8月15日)の中で、ロシアに対して新たな制裁を導入する予定は現時点ではないと述べた。

会談には米ロ首脳に加え、米国側からはマルコ・ルビオ国務長官とスティーブ・ウィトコフ中東特使、ロシア側からはセルゲイ・ラブロフ外相とユーリー・ウシャコフ大統領補佐官も出席した。プーチン大統領は会談後の記者会見で、潜在的な経済協力の可能性に言及し、特に貿易、エネルギー、デジタル分野、先端技術、そして宇宙開発における協力の可能性を強調した。一方、トランプ大統領は会見の場で、貿易関係にはほとんど触れなかった。

ロシアの専門家は今回の首脳会談をおおむね好意的に受け止めているが、一部の専門家は、両国それぞれが期待していた内容の実現に至らなかったと評価している。

対面での米ロ首脳会談は、2021年6月にスイスのジュネーブで行われて以来4年ぶりの開催となった。

(欧州課)

(米国、ロシア、ウクライナ)

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