上海時的科技、空飛ぶクルマの生産拠点を10億元で新設

(中国)

上海発

2025年08月13日

「空飛ぶクルマ」を開発する上海時的科技は8月8日、中国・安徽省蕪湖市で同社初となる電動垂直離着陸機(eVTOL)「E20」の生産拠点を着工した。完成すれば、2本の組立ラインが導入され、E20の年産能力は200機に達する予定だ。

E20は旅客輸送向けeVTOLとして、ローターの角度が変わるティルトローター機(注)であり、高い巡航速度を備える。最大5人乗りで、最高飛行速度は時速320キロに達する。主に低空域観光、市内移動、都市間通勤などでの応用が想定されているという。

蕪湖市政府の発表(8月9日)によれば、E20生産拠点の初期投資額は10億元(約200億円、1元=約20円)で、敷地面積は70ムー(1ムー=約667平方メートル)、2026年8月の竣工(しゅんこう)が計画されている。生産拠点の着工は、E20を研究開発段階から量産段階へ移行させ、本格的な引き渡しに向けて生産基盤を整備するためとみられる。

同社のE20は国内外からの受注が相次いでいる。2025年4月に大手銀行の中国銀行系ファイナンスリース会社から100機(2025年4月23日記事参照)、7月にアラブ首長国連邦(UAE)企業から350機、計10億ドルでそれぞれ受注した(2025年7月31日記事参照)。

同社創業者兼最高経営責任者の黄雍威氏は着工式でのあいさつで、「当社初となるE20生産拠点として、eVTOLの量産が可能となる生産許可証(PC)を申請する専用工場とするほか、国産eVTOLの海外進出を推進する役割を果たす」と表明した。

(注)1つ、または複数の動力付きローター(プロペラに似た回転翼、プロモーター)によって、揚力と推進力を発生させる垂直/短距離離着陸ができる航空機のことを指す。

(劉元森)

(中国)

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