中国の空飛ぶクルマメーカー、リース会社と相次いで戦略提携

(中国)

上海発

2025年04月23日

「空飛ぶクルマ」を開発する中国の上海峰飛航空科技(オートフライト)は4月17日、上海市国有企業の上海浦東発展銀行傘下のファイナンスリース会社の浦銀金融租賃と戦略的提携を結んだと発表した。浦銀金融租賃は、オートフライトの電動垂直離着陸機(eVTOL)100機のファイナンスリースを提供するとしている。機種が明らかにされていなかったが、総額は10億(約190億円、1元=約19円)を上回るという。

浦銀金融租賃は、中国で民用航空製造およびサービスを展開する唯一のファイナンスリース会社として、航空機約120機を所有している。オートフライトとの提携は、大型eVTOLの商業飛行、量産化の実現に向けて重要な一歩で、低空経済(注1)業界のサプライチェーン発展に大きく寄与する考えだ。

オートフライトは2025年2月、自社開発のeVTOL「凱瑞鴎」など12機を受注した(2025年2月14日記事参照)。型式証明(TC、注2)、製造証明(PC)を取得した凱瑞鴎は、2025年からの納入が予定されている。

同じくeVTOL開発を手がける上海時的科技も4月17日、中国銀行傘下のファイナンスリース会社の中銀金融租賃と戦略的提携を締結し、eVTOL「E20」を100機受注したと発表した。両社は低空経済の発展を推進し、国有中央企業の中国銀行と民営企業の上海時的科技が連携による共同実施モデルを構築していく考えだ。

E20はローターの角度を変えることで垂直上昇できる5人乗りのティルトローター機で、最高飛行速度は時速320キロに達する。E20の型式証明を取得するための第1次審査は2024年12月に実施され、商業飛行に向けて大きな一歩を踏み出した。

(注1)低空経済は、低空域を活用した旅客輸送や物流などの経済活動を指す。

(注2)型式証明は、民間機が耐空規制と環境保護要件に適合していることを証明する。航空機のモデルごとに与えられる証明で、取得するには型式設計、使用制限、耐空性、環境保護要件などに対する検査が行われる。

(劉元森)

(中国)

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