トランプ米大統領の支持率46%に比べ、インフレ対応への支持が低迷、世論調査

(米国)

調査部米州課

2025年08月08日

米国では、5~6月の雇用統計が大幅に修正され、トランプ関税による雇用の低迷が継続するとみられている(2025年8月5日記事参照)。最近の世論調査では、経済対応の支持率はトランプ氏自身の支持率を下回り、インフレ対応への支持はその他の重要事項と比較して最低になった。

CNBCは8月7日、トランプ政権などに関する世論調査結果(注1)を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。それによれば、トランプ氏の支持率は46%だったが、経済対応は45%と下回った。

重要事項対応への支持率は、「南部国境」が53%(不支持率44%)、「不法移民の国外追放」が49%(49%)、「関税」が45%(51%)と4割を超えた。一方、「インフレ・生活費」は37%と低迷し、多数(60%)が不支持とした。

「エコノミスト」(8月7日)はトランプ政権の199日を総括し、輸入の急激な減少に押し上げられ、第2四半期のGDPは成長した一方、小売売上高は弱まり、住宅着工件数は2020年半ば以来の最低水準に落ち込み、移民取り締まりにより労働力供給は逼迫している、としている。7月の雇用者数はわずか7万3,000人で、予想を大きく下回り(2025年8月4日記事参照)、ひずみが見え始めていると経済の先行きに懸念を示した。インフレ率が今後、上昇傾向にあることや、消費者信頼感が低下していることも指摘された。

トランプ関税の影響を、公式のインフレデータが捉えきれていない可能性も指摘されている。生産者物価指数(PPI、注2)に着目する必要があるという。PPIは、トランプ関税によって大きな打撃を受けた輸入品で、企業が使用する部品や原材料の価格を示す。生産者物価の高騰が新規投資を阻害して、賃金上昇の鈍化に影響するとしている(「ウォールストリート・ジャーナル」紙8月7日)。

また、多くのエコノミストは、米国経済が瞬時に崩壊するのではなく、着実に悪化していくリスクを指摘しているという。ジョージタウン大学のブラッド・ジェンセン教授は「歯車に細かい砂が入り込み、物事を減速させていく」と表現した(AP通信8月8日)。

(注1)実施時期は2025年7月29日~8月3日。対象者は全米の成人1,000人。

(注2)労働省の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによれば、PPI上昇率は2025年1月の前年同月比0.7から4月はマイナス0.3に低下し、5月は0.3、6月は0.0だった。

(松岡智恵子)

(米国)

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