第2四半期のGDP成長率確定値も前年同期比3.1%、2025年通年の見通しは2~3%に据え置き

(香港)

香港発

2025年08月28日

香港特別行政区(以下、香港)政府は8月16日、2025年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率の確定値が前年同期比で3.1%と発表した。7月31日に発表した速報値から修正はなく(2025年8月14日記事参照)、2月26日および5月16日に発表した2025年通年のGDP成長率見通し(2.0~3.0%)も据え置かれた(2025年3月3日記事5月23日記事参照)。

香港政府経済顧問代理の林幗瑛(セシリア・ラム)氏は今後の見通しについて、中国本土を含むアジア地域の堅調な経済成長が見込まれることに加え、香港域内における雇用者の所得増加、株式市場の活況や住宅市場の安定化が香港経済の各分野を下支えするだろうとの見方を示した。また、香港政府による消費喚起策や投資誘致、その他市場の多元化に向けたさまざまな取り組みなどの経済促進措置も引き続き経済成長を支えるだろうと述べた。一方、米国による関税措置は依然として高い水準にあり、一部の品目をめぐる関税政策の行方も不透明な状態にあることから、2025年後半にかけて、国際貿易や米国の経済活動、インフレ動向などに影響が表れる可能性があるほか、米国の利下げのペースを巡る不確実性も香港の投資マインドにも影響を及ぼしうると指摘。今後の香港の経済成長は、これらの要素に一定程度左右されるとの見解を示した。

香港大手商業銀行の大新金融集団チーフエコノミスト兼ストラテジストの温嘉煒氏は、第2四半期の経済成長の要因について、「米国による対中相互関税の暫定停止を背景とした前倒し輸出や、大規模イベントによるインバウンド観光と個人消費の改善が貢献した」と指摘した(「経済日報」紙8月17日)。

〔黄莃倫(ケリー・ウォン)〕

(香港)

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