第2四半期のGDP成長率は前年同期比3.1%、内需が改善

(香港)

香港発

2025年08月14日

香港特別行政区(以下、香港)政府統計処は7月31日、2025年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率(速報値)が前年同期比で3.1%と発表した(添付資料図参照)。前期(2025年1~3月)から0.1ポイント上昇し、香港政府が2月26日および5月16日に公表していた2025年通年のGDP成長率見通し(2.0~3.0%)を上回った(2025年3月3日記事5月23日記事参照)。

第2四半期のGDP成長率を需要項目別にみると、個人消費支出は前年同期比1.9%増と、前期(1.2%減)から3.1ポイント上昇。5四半期ぶりに前年同期比で増加に転じた。また、政府消費支出は2.5%増と前期(0.9%増)から1.6ポイント拡大したほか、固定資本形成も2.9%増と、前期(1.1%増)から1.8ポイント上昇した。財の輸出(11.5%増)と財の輸入(12.7%増)はいずれも前期の伸び率を上回り2桁増となった。このほか、サービス輸出(7.5%)、サービス輸入(7.0%増)もともに前期から伸びが加速した。

香港政府報道官は2025年第2四半期の実質GDP成長率について、「輸出の力強さと内需の改善に支えられ、堅調な拡大を続けた」と指摘。財の輸出の好調要因としては、外需が堅調だったことに加え、米国による関税措置の一時的な緩和を受けた「前倒し輸出」を挙げた。また、サービス輸出の拡大要因については、インバウンド観光の増加、越境交通のさらなる拡大、域内株式市場の活況を背景とした金融関連サービスの活発化を指摘した。

今後の見通しについては、「特に中国本土を中心としたアジア地域の安定した経済成長が見込まれることに加え、香港政府によるさまざまな経済支援措置が引き続き香港経済の下支えとなる」との見方を示した。一方で、外部環境の不確実性は依然として高い水準にあるとし、米国による関税措置が、香港域内の経済活動やインフレ圧力にも影響し得るほか、米国の利下げペースの不確実性も投資家心理に影響を及ぼすとの見方を示した。加えて、「前倒し輸出」の効果については、年後半にかけて弱まっていくと指摘した。

陳茂波(ポール・チャン)財政長官は8月3日、「2025年第3四半期にも香港経済は成長継続が見込まれるものの、第1四半期および第2四半期には、好調な輸出が経済成長を後押ししていたことから、今後は上半期ほどの実績を期待することは難しい可能性がある」との見方を示した。一方で、「観光客の増加、大規模イベントの開催、そして9月に米国が金利を引き下げる可能性を考慮すると、資産市場とビジネス環境の改善が期待できる」と述べた。

なお、香港政府は8月15日、2025年第2四半期のGDP成長率の詳細を公表する予定。

〔黄莃倫(ケリー・ウォン)〕

(香港)

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