ボリビア大統領選挙、10月に決選投票へ、与党MAS候補は敗退
(ボリビア、メルコスール)
リマ発
2025年08月19日
ボリビア大統領選挙が8月17日に行われた。選挙の運営・管理を担う多民族国家選挙機構(OEP)が発表した開票速報によると、8月18日午前10時時点(ボリビア時間)の開票率は95.41%で、野党中道のキリスト教民主党(PDC)のロドリゴ・パス上院議員が得票率32.14%で首位となり、次いで野党右派の自由と民主主義同盟(LIBRE)のホルヘ・キロガ元大統領が26.81%となっている。与党左派の社会主義運動党(MAS)のエドワルド・デルカスティージョ前内務相は3.16%にとどまっている。在外投票などの集計作業が続いているが、パス氏とキロガ氏による決選投票(10月)となる可能性が濃厚となった。
パス氏とキロガ氏は、外貨不足、物価上昇、燃料不足が続き疲弊しているボリビア経済(2025年6月18日記事参照)の立て直しを、最優先の公約と位置付けることで一致している。
パス氏は具体策として、輸出の自由化、国内外の官民資本による科学技術の競争力強化、観光業の振興、炭化水素と再生エネルギーの開発によるエネルギー供給確保、為替レートの単一化と安定化のための基金設置、ガソリン価格安定補助金の削減などを掲げる。また、地元ラジオ局に対して、「IMFからの融資は受けない」とコメントしている。
キロガ氏は、IMFなどの国際機関の協力を得ながら為替の安定を図るとともに、欧米やアジア諸国との関係を重視して、貿易と投資を推進する方針だ。また、天然ガス、鉱業、リチウムなどの資源エネルギーの潜在的な競争力を高めるとしている。各プレスに対し、メルコスールについては、域内の人の移動にはボリビアにもメリットがあるものの、対外共通関税率の適用については不便さがあると指摘する(注)。ペルーとチリの事例を参考に、日中韓、EUとの自由貿易協定(FTA)締結に意欲を見せている。
2006年に大統領に就任し、その後、ボリビアで約20年にわたり左派政権が続くきっかけとなったエボ・モラレス氏は、今回の選挙までに党内対立によりMAS党を離党していたが、支持者とともに選挙妨害を起こす可能性があるとして懸念されていた(2025年6月23日記事参照)。しかし、モラレス氏は8月18日、X(旧Twitter)で支持者に対して白票を呼びかけていたことに関し「投票は行うが、候補者は選ばないというわれわれの行動は意義あるものだった」とコメントを発表した上で、選挙の結果を認めた。
決選投票は10月19日に実施される。
(注)ボリビアは、2024年7月にメルコスールに正式加盟した。今後4年以内に国内法規をメルコスールの規制・枠組み(主に関税制度)に適用させ、加盟手続きを完了させる必要がある。
(石田達也)
(ボリビア、メルコスール)
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