ボリビア、新政権発足後は日本との関係強化を優先するべきと有識者指摘
(ボリビア、米国、中国、日本)
リマ発
2025年06月23日
2025年8月に実施されるボリビア大統領選挙の展望と新政権に期待される政策について、ボリビアのサンアンドレス大学(UMSA)とカトリカ大学(UCB)で教鞭(きょうべん)をとるアルベルト・ボナドナ教授に6月16日に聞いた。
ボナドナ氏は、大統領選の行方について、与党の社会主義運動(MAS)をはじめとする左派にも、反対派の右派にも当選する可能性はあり、予断を許さない状況と話した。また、エボ・モラレス元大統領はMASから離党し大統領選に立候補することはないが、支持者グループとともに選挙の妨害を行う可能性があるとコメントした。
ボリビア経済の厳しい状況から(2025年6月18日記事参照)、MASをはじめとする左派の候補者が大統領になった場合でも、現在のアルセ政権と同じ政策を取ることは現実的ではなく、新政権は経済改革に取り組む必要があると指摘した。
具体的には固定為替相場制の見直し、中央銀行の独立性確保、石油小売販売価格安定補助金など各補助金の見直し、IMFなど国際機関との対話と連携による財政健全化が必要という。また、外貨規制を廃止して、輸出企業が第三国で保有している外貨をボリビアに還流させるとともに、一般家庭のタンス預金をどこまで金融機関に回すことができるかも重要な課題で、これらの改革を実施するにはある程度の時間も必要との認識を示した。
外交面では、米中貿易対立のなか、新政権はまず日本にコンタクトを取り、ボリビアと日本との関係強化を図る必要があるという。ボナドナ氏は、米国のトランプ政権は南米地域にあまり関心がなく、中国はボリビア政府の動きが読めず、投資に積極的だとは言えない状況にあると見ている。
新政権は日本との関係強化を優先すべきと話すボナドナ教授(中央)(ジェトロ撮影)
(石田達也)
(ボリビア、米国、中国、日本)
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