メキシコ政府、9つの港湾の開発計画を発表

(メキシコ)

メキシコ発

2025年08月05日

メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領とライムンド・ペドロ・モラレス・アンヘレス海軍相は7月23日の早朝記者会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、経済開発計画「プラン・メキシコ」(2025年1月17日記事2025年4月11日記事参照)の一環として、海軍省を通じて9つの港湾へ官民共同投資を行うことを発表した。公的投資額は551億7,900万ペソ(約4,303億9,600万円、1ペソ=約7.8円)、民間投資額は2,410億5,100万ペソに上る見込みだ。9つの港湾のうち、エンセナダ、マンサニージョ、ラサロカルデナス、アカプルコ、ベラクルス、プログレソの6つは公的・民間投資により、優先的に開発するとした。加えて、グアイマス、トポロバンポ、アルタミラは民間投資による開発を計画する(各港湾への投資金額・内容は添付資料参照)。

ミチョアカン州にあるラサロカルデナス港では、港湾の拡張に向け、政府が既にラ・パルマ島の取得に着手しており、今後48億8,700万ペソの公的投資が行われる予定だ。そのほか、税関の拡張や大型航空機の離着陸を可能にするための滑走路の拡張工事を予定している。また、民間投資では、ターミナル運営企業によるターミナル拡張工事が行われるとした。

また、国内最大の商業港であるマンサニージョ港についても開発計画が発表された。その内容は、現港湾の南方に位置するクユトラン・ラグーンに5つのターミナルを建設し、各ターミナルが特定の税関機能を持ち、通関後に高速道路や鉄道に直接接続するという構想だ。現在、実行に向け調査を進めている段階で、浚渫(しゅんせつ)工事(注)は2027年7月に完了する見込みとした。敷地不足解消のためにクユトラン・ラグーンを開発する計画は、2019年7月にも発表されていた(2019年7月18日記事参照)が、その後、特に進展は見られていなかった。

メキシコ政府が港湾を開発する理由は、各港湾の深刻な飽和状態により、輸入通関の遅延や周辺地域におけるトラックの渋滞など、さまざまな問題が引き起こされている(2024年9月18日付地域・分析レポート参照)からだ。シェインバウム大統領は「今回の拡張事業やインフラ整備によって、メキシコの国内港間輸送や輸出入を円滑化し、有利な地理的条件を活かすことができる」と強調した。

(注)浚渫工事とは、船舶が安全に航行できる幅と水深を確保し、船舶が停泊できる場所を作るため、水底を掘り下げ土砂や汚泥を除去する工事のこと。

(阿部眞弘、加藤美帆)

(メキシコ)

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