タイ政府、米トランプ政権と通商協議、7月9日までに再提案へ
(タイ、米国)
バンコク発
2025年07月08日
タイ財務省は7月6日、米国の相互関税を巡り、米国トランプ政権と通商交渉を実施したことを発表した。交渉の結果を踏まえ、今後さらなる提案をトランプ政権に提示する準備を進める。
ピチャイ・チュンハワジラ副首相兼財務相や関係省庁が訪米し、米国のジェミソン・グリア米国通商代表部(USTR)代表や財務省高官らと初の交渉(公式協議)を実施した。タイはこれまで、関税・非関税障壁の削減や米国産品の購入などを盛り込んだ提案を行ってきた(2025年5月16日記事参照)が、公式な協議は実施できていなかった。
協議において、米国はタイ側に提案を改善するよう要望し、タイがこの要望を受け入れたという。タイ財務省(7月6日付同省フェイスブック投稿)によると、ピチャイ副首相はタイに対する米国側の関税率が36%になるとの憶測を否定し、7月9日までに新たな提案を米国に提出すると述べた(注)。最終的な関税率は米国側から正式に発表され、一斉に通知されるとしつつ、「タイ経済・国民が、国際競争力を保てるような成果を目指す」をコメントしている。
なお、タイ国家経済社会開発委員会(NESDC)のダヌチャ・ピチャヤナン委員長は、既に発表されている米国と中国や英国、ベトナムによる合意結果を踏まえ、タイは18%相当の相互関税が賦課されると予測する(7月6日付「ネーション」紙)。ダヌチャ委員長は18%を下回る関税率であれば、タイにとって(対米輸出が)有利になるとの見方を示す。
なお、今回の訪米にあわせて、ピチャイ副首相ら交渉団は、タイに投資する米国企業や米国の農業関係者とも面談。同時に国内では、米国政府が懸念視する迂回貿易への対策の検討を進めている(2025年7月7日記事参照)。
(注)トランプ政権は7月7日、タイに関税率は36%となる予定と書簡で通知したとするファクトシートを発表している(2025年7月8日記事参照)。
(藪恭兵、シリンポーン・パックピンペット)
(タイ、米国)
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