ロシア・ウクライナの3回目の直接交渉、捕虜交換拡大で合意も、停戦協議は難航続く

(ウクライナ、ロシア)

調査部欧州課

2025年07月28日

ロシアとウクライナは7月23日、トルコのイスタンブールで、3回目となる直接交渉を実施した。2025年5月(2025年5月20日記事参照)と6月(2025年6月5日記事参照)に続く今回の交渉では、1,200人以上のさらなる捕虜交換を行うことで合意し、人道的措置の面で一定の進展が見られた。一方、停戦合意や首脳会談の実施を含む本格的な和平交渉については、依然として難航している。

ウクライナ側の代表団を率いたルステム・ウメロフ国家安全保障・国防会議書記(前国防相)は交渉の中で、a.完全かつ無条件の停戦、b. ウクライナとロシアの首脳による会談の実現、c.人道的取り組みの継続をロシア側に示したと自身のSNSに投稿した。特に首脳会談に関しては、米国のドナルド・トランプ大統領やトルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領らの参加を得て、8月末までの開催を提案した。交渉後の記者会見でウメロフ書記は、ウクライナの優先事項は常にこの3点の実現だと強調した(「キーウ・インディペンデント」7月23日)。

ロシア側は、さらなる捕虜交換や戦死者遺体の収容を目的とした短期停戦、軍事、政治、人道に関する3つのオンライン作業部会の設置などを提案した。ウクライナ側が求める両国の首脳会談については、実施に先立って合意条件の確定が不可欠との立場を示した。

ロシア代表団を率いたウラジーミル・メジンスキー大統領補佐官は交渉後の記者会見で、第4回会談の実現を期待すると述べているものの(「インターファクス通信」7月23日)、和平に向けた合意の条件については、依然として双方に隔たりがある。ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は今回の交渉に先立ち、和平に向けた覚書の草案が両国では「正反対」で、今回の交渉も非常に困難になる見通しだと指摘していた(「ノーボスチ通信」7月23日)。

(小野塚信)

(ウクライナ、ロシア)

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