米カリフォルニア州、クリーンエネルギー電源比率67%に到達も、連邦政府の政策変更で不透明感
(米国)
サンフランシスコ発
2025年07月23日
米国カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(民主党)は7月14日、2023年に州内の小売電力販売の67%がクリーン電源(再生可能・ゼロカーボン電源)によって供給されたと発表した。同州は世界第4位の経済規模(2025年4月25日記事参照)があり、この規模の国・自治体で同水準に到達したのは初と誇った。2022年の61%、10年前の約41%から着実な伸びを示している。クリーン電源の構成は、再生可能エネルギー(太陽光・風力・地熱・バイオマス)が43%、大規模水力が12%、原子力が12%を占める
。
さらに2024年には、年間として過去最大となる7,000メガワット(MW)のクリーン電源を新たに送電網に追加。特に太陽光発電は2万1,000MW超、住宅や商業施設などに設置された屋根置き型が1万9,000MWに達している。2025年5月下旬にはピーク発電量は2万1,500MWを超え、これまでの記録を更新した。
蓄電池の導入も急速に進み、2024年時点で1万5,000MWを突破。日中の余剰太陽光を蓄電し、夕方の電力供給に活用されている(2024年10月22日記事参照)。2025年には、1日平均7時間を100%クリーン電源で供給する状態を実現している。
州政府は、2045年までに14万8,000MWのクリーン電源導入を目標とするロードマップを掲げており、2019年以降既に2万5,000MWの追加を完了している。温室効果ガス(GHG)排出量は2000年比で20%減少する一方、同期間に州GDPは78%増加した。電力部門の排出量は2009年比で半減し、環境政策と経済の両立が進んでいる。ニューサム知事は「連邦政府がイノベーションと常識に背を向ける中、同州はクリーンエネルギーの未来を現実にしている」と述べ、今後も成長が続くとの見通しを示した。
一方、2025年7月4日に成立した連邦予算法「大きく美しい1つの法案(OBBBA)」では、クリーンエネルギー関連の税額控除の大幅な見直しが盛り込まれた。風力・太陽光プロジェクトに対する税額控除の期限は、従来の2031年末から2027年末へと前倒しされ、中国など禁止外国事業体由来の主要部品を使用する場合は適用外とされた(2025年7月2日記事参照)。州の政策や社会課題に特化した非営利メディアの「カルマターズ」紙(電子版7月14日)によると、この変更により、州内では11件の太陽光発電と1件の陸上風力発電の計画が、延期または中止のリスクに直面している。
(松井美樹)
(米国)
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