米ニューヨーク州知事、マンハッタン中心部の通行料導入から半年の成果強調
(米国)
ニューヨーク発
2025年07月10日
米国ニューヨーク(NY)州のキャシー・ホークル知事(民主党)とNY州首都圏交通局(MTA)は7月5日、マンハッタン中心部通行料徴収プログラム(注)導入半年後の成果を発表した。
発表によると、NY市の経済活動が活性化する中、同プログラムによって交通量は減少し、地域全体の交通インフラ改善のための資金調達に貢献した。2025年の年間収益は約5億ドルに達する見込みで、地下鉄、バス、鉄道システムに対する150億ドルの投資計画の推進につながるとしている。また、1月5日のプログラム導入以降、マンハッタン中心部に入る車両数は1日当たり6万7,000台減少し、導入後半年間で前年の同じ期間と比べて1,000万台以上減少した。交通渋滞による遅延は中心部で25%減少し、都市圏全体では9%減少した。
MTAは同プログラム導入後1週間となる1月14日に既に成果が表れたと発表していたが(2025年1月23日記事参照)、米国運輸省は2月19日、同プログラムの認可を取り消したと発表し(2025年2月26日記事参照)、5月にプログラム認可について裁判が行われた。審議が続く間、MTAは通行料を徴収し続けることが許可され、連邦政府による報復措置を禁止する仮差し止め命令も出された。ホークル知事は今回の発表で「成果を出しているプログラムを廃止しようとする連邦政府の5カ月間にわたる違法な試みを撃退し続けた。今後も法廷で闘い、勝利を収め続ける」と述べた。
MTAの交通システム老朽化は、頻発する地下鉄遅延の原因になるなど、長年の問題となっている。今回の発表でMTAは、通行料徴収プログラムにより、2020~2024年度予算案(2019年10月2日記事参照)で発表されたプロジェクトへの資金供給に向け、150億ドル分の債券発行が可能となり、MTAネットワークの改善につながるとした。
(注)NY市マンハッタン区の60丁目以南の中心部(CBD)を通行する車両に料金を課すもの。
(吉田奈津絵)
(米国)
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