米国フロリダ州、米国東部最大の指定自然保護区に移民の拘置所を建設

(米国)

ニューヨーク発

2025年07月02日

米国土安全保障省(DHS)のクリスティ・ノーム長官は6月30日、フロリダ州にあるエバーグレーズ湿地に建設中の移民の拘置所「アリゲーター・アルカトラズ」について、「バイデン前政権下で米国に入国した最悪の犯罪者たちを収容する」「フロリダ州との提携により、わずか数日で施設と収容スペースを拡大することができる」との声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。発表ではまた、当該施設に収容される可能性のある、殺人などの罪を犯した11人の移民の例をあげた。

米メディアによると、アリゲーター・アルカトラズには、トランプ政権の移民大量送還計画で拘束された移民の収容を目的に、1,000人分のベッドが設置される予定で、フロリダ州政府が連邦政府から資金を受けるとされている(米政治専門誌「E&Eニュース・バイ・ポリティコ」6月24日)。

一方で、アリゲーター・アルカトラズの建設には反対もある。エバーグレーズ湿地は同州の世界遺産、生物圏保護区でもあり、米国東部で最大の原生地域として知られている。同湿地を含むマイアミ・デード郡のダニエラ・カーバ市長(民主党)は6月23日、ロン・デサンティス・フロリダ知事(共和党)の緊急管理ディレクターであるケビン・ガサリー氏(共和党)宛ての書簡で、「この土地は重要な地域に位置しているため、譲渡には相当な審査と十分な調査が必要だ」と述べていた(マイアミヘラルド6月25日)。現地では施設建設に対する抗議活動が展開されており、エバーグレーズ湿地の生態系の保護を目的とした非営利団体、フレンズ・オブ・ザ・エバーグレーズとセンター・フォー・バイオロジカル・ダイバーシティはともに6月27日、DHSのノーム長官、米国移民税関捜査局(ICE)のトッド・リオンズ長官、および州政府を、環境影響評価を完了せず、必要な公聴会手続きを省略したとして提訴PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。

(吉田奈津絵)

(米国)

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