トランプ米大統領、南アからの対米輸出品に30%の関税課すと通知

(南アフリカ共和国、米国)

ヨハネスブルク発

2025年07月09日

米国のドナルド・トランプ大統領は7月7日、シリル・ラマポーザ南アフリカ共和国大統領宛ての書簡を自身のSNS上に投稿し、対南ア貿易での「大幅な貿易赤字」は「わが国の経済、ひいては国家安全保障にとって大きな脅威」だと主張し、8月1日から南アからの対米輸出品に30%の関税を課すと通知した。7日に書簡による通知が発表された14カ国(2025年7月8日記事参照)には、南アのほか、日本や韓国も含まれていた。

書簡の内容はその他の国に通知された内容と同様で、南アの関税・非関税障壁、貿易障壁が米国に巨額の貿易赤字をもたらしており、追加関税はこれらの障壁を取り除くために必要な措置だとしている。なお、南アに今回通知された税率30%は、当初4月に発表した相互関税措置と同じだった(2025年4月3日記事参照)。

南アにとって、米国は中国、EUに続く第3位の輸出相手国で、南アの輸出全体の6.9%を占める。主要な輸出品の白金などの金属・鉱物資源は今回の措置の対象外だが、農産品や自動車なども多く輸出しており、今回の措置が実際に発動されれば、こうした産業への甚大な影響が懸念される。既に当地のメルセデス・ベンツ南アは7月末まで自動車生産を停止することを発表している。同社は米国の関税措置との関係を否定するものの、メディアでは関連を指摘する記事が見られる。

これに先立ち、5月にはラマポーザ大統領が訪米し(2025年5月30日記事参照)、トランプ大統領とも会談して「戦略的経済関係」を深めるべく協議していた。各種報道などによると、南ア側から米側に幾つかの提案を行ったもの、米側から有益な回答は得られていないもようだ。

一方、南ア大統領府は7月7日、「南アは米国とのより均衡のとれた互恵的な貿易関係の構築に向けて、外交努力を継続する。米国との交渉が終結次第、30%の関税は変更される可能性があるという米国政府の表明を歓迎する」とするラマポーザ大統領の声明を発表した。

しかし、トランプ大統領は前日に発表されたBRICS首脳宣言を念頭に、「BRICSの反米政策に同調する国には10%の追加関税が課される」とも警告しており(2025年7月8日記事参照)、南アへのさらなる課税に対するリスクも指摘されている。

(的場真太郎)

(南アフリカ共和国、米国)

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