ラマポーザ大統領、訪米成果を報告

(南アフリカ共和国、米国)

ヨハネスブルク発

2025年05月30日

南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領は5月26日、ドナルド・トランプ米大統領との会談(5月21日)の結果(2025年5月23日記事参照)を、大統領府ホームページで報告した。

会談中に動画を流すなどして、トランプ大統領が「南アでは白人の虐殺が行われている」と一方的に非難したことが日本を含む多くのメディアに取り上げられたが、ラマポーザ大統領は「(困難な状況下でも)米政府と直接対話し、誤った情報を訂正し、民主主義国家として私たちが成し遂げてきた進歩と、依然として直面している多くの複雑な課題について真実の説明を提供することが重要だった」とする一方で、「私たちの訪問の全体的な目的は、第2位の貿易相手国である米国との、戦略的経済連携を深めることだった」とした。

その上で、関税や幅広い貿易問題に関してさらに協議するために、両国間の経済協力対話に関する合意を得たことや、2025年後半(11月)にヨハネスブルクで開催されるG20首脳会議にトランプ氏が出席することを含め、米国がG20で引き続き重要な役割を担うべきとの点でトランプ氏の同意を得たことを、「重要な成果」として示した。南アの後のG20議長国は、米国に引き継がれる予定だ。

さらに、ラマポーザ大統領は、両国が互いの市場で新たな機会を模索する上で、南ア側も好ましい投資環境をつくり、促進していくための構造改革プロセスへの取り組みを米側に情報提供したという。経済成長を促進し、雇用を創出する投資を誘致するためには、高い犯罪率を含む国内の課題を克服し、政府、企業、労働者、そして社会全体が協力する必要がある、とも訴えた。当地主要メディアでは、トランプ氏からの非難は事実に基づかないものだったとしても、南アが抱える本質的課題を浮き彫りにし、再確認させる機会になった、との論調もみられる。犯罪率の高止まりに加え、これまでの南ア政府の一貫した外交戦略の欠如がこうした米政府との行き違いを生むことになった、との指摘だ。

(的場真太郎)

(南アフリカ共和国、米国)

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