米国商務省、メキシコ産トマトに対するAD停止協定から離脱
(米国、メキシコ)
ニューヨーク発
2025年07月16日
米国商務省国際貿易局(ITA)は7月14日、メキシコ産トマトに対するアンチダンピング(AD)調査の停止を定めた2019年の協定(2019年協定)から離脱したと発表した。これにより、ITAは今後、メキシコ産トマトのほとんどの輸入に対して17.09%のAD税を課す決定を下す。
ITAによると、米国内のトマト業界は、メキシコからのダンピング輸入によって重大な損害を受けているとして、1996年3月にAD措置を要請した。その後、過去27年間で5つの一時停止協定(1996年、2002年、2008年、2013年、2019年)が締結されるなど、AD措置は一時停止とその撤回が繰り返されていた。直近の2019年協定では(2019年8月23日記事参照)、メキシコ産トマトの最低販売価格などが定められていたが、ITAは、「メキシコからの不当な価格の輸入品から、米国のトマト生産者を保護する役割を果たせていない」「2019年協定の廃止を求める多数の指摘が相次いだ」として、2025年4月に協定からの離脱を発表していた。2019年協定は、書面による通知から90日後に離脱できると定めている。
今回の発表で、商務省のハワード・ラトニック長官は「メキシコは依然として米国の重要な同盟国の1つだが、長年にわたり、米国の農家はトマトなどの農産物の価格を不当に押し下げる不公正な貿易慣行によって大きな打撃を受けてきた」と述べた。同長官はまた、「今回の規則変更は、ドナルド・トランプ大統領のメキシコに対する通商政策およびアプローチに沿ったものだ」とも述べた。2期目のトランプ政権は、メキシコからの輸入品に対して、3月から米国へのフェンタニル流入防止を目的に最大25%の追加関税を課しているほか(2025年3月7日記事参照)、7月には30%の追加関税を8月1日以降賦課するとの書簡も発表している(2025年7月14日記事参照)。
(赤平大寿)
(米国、メキシコ)
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