製造業関連展示会「MTA Vietnam 2025」開催、ジェトロがDXブース設置

(ベトナム)

ホーチミン発

2025年07月11日

ベトナム最大級の製造業関連展示会「MTA Vietnam 2025」が725日、ホーチミン市内で開催された。ジェトロは2019年以来となるジャパンパビリオンを設置し、日本の中堅中小企業16社が出展した(注1)。金属加工や切削工具などを取り扱う13社に加え、「製造業DX(デジタルトランスフォーメーション)」をテーマとした特設ブースを設置した。(1)写真や動画を用いたマニュアル作成アプリの提供、(2)設計データの3D化による設計工数の削減、(3IoT(モノのインターネット)技術を活用した生産設備の稼働データの可視化といったソリューションを提供する企業3社も出展した。ジェトロがパビリオンに製造業DXブースを設けるのは、2024年の「METALEX Thailand」に続き2回目で、ベトナムでは初の試みとなった。

写真 DXブースを訪問したベトナム自動化協会グエン・クアン会長(元科学技術相)ら来賓に説明する日本企業担当者(ジェトロ撮影)

DXブースを訪問したベトナム自動化協会グエン・クアン会長(元科学技術相)ら来賓に説明する日本企業担当者(ジェトロ撮影)

ベトナム地場企業の技術水準の向上を評価

ジャパンパビリオンでは、会期4日間で計500件以上の商談が行われた。出展企業からは「現地企業と次につながる有意義な商談ができた」といった前向きな声のほか、「精密加工に優れた製品への需要が以前より高まっており、現地企業の技術水準がここ数年で向上している」との声があった。

ベトナム国内の自動化・省人化ニーズについては、「ベトナム南部では現地企業で人手不足は感じられず、人件費も安価なため、足元の引き合いは限定的」(製造業向けシステム開発企業)との声が聞かれた。一方、「ベトナム北部ではワーカーの採用競争が激化しており、今後は南部でも同様の状況が進行する可能性がある」(工作機械メーカー)と将来的に自動化・省人化への関心が高まると予想する企業もあった。

米国によるベトナムへの関税政策(注2)の影響に関しては、4月の相互関税の発表直後に受注がキャンセルとなったものの、7月2日の関税交渉妥結を受けて再受注に至った事例があった(在ベトナム日系機械商社)。また、「ベトナムでは日本などの米国以外に輸出している取引先が多く、マイナスの影響はあまり感じない」という声も聞かれた。

なお、主催者発表によると、会期4日間の来場者数は1万3,142人と、前年実績の1万5,552人と比べて約15%減少した。その原因として、出展企業からは「同じ製造業分野の展示会がホーチミン市の周辺地域で近い時期に開催され(注3)、来場者が分散した可能性がある」との指摘があった。

(注1)「MTA Vietnam」は、主催者発表によると21回目の開催となり、今回は21カ国・地域から435社が出展した。ジェトロのジャパンパビリオン出展企業の情報については、2025年6月5日付プレスリリース参照。

(注2)2025年4月8日記事2025年7月3日記事参照。

(注3)年に4回、ベトナムの4地域で開催される製造技術展示会「Vietnam Industrial & Manufacturing Fair(VIMF)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」のビンズオン省(当時、現ホーチミン市)での展示会が、2025年6月18日から20日にかけて開催されていた。

(成瀬亘作)

(ベトナム)

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