英政府、EV購入補助金を再導入、製造・研究開発の促進に向けた支援も公表

(英国)

ロンドン発

2025年07月17日

英国政府は7月15日、ゼロエミッション車(ZEV)への移行支援に向けて6億5,000万ポンド(約1,293億5,000万円、1ポンド=約199円)の電気自動車(EV)新車購入補助金を導入することを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(詳細は英国政府ウェブサイト参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。英国では、2022年6月にEV向けの新車乗用車購入補助金を廃止(2022年6月22日記事参照)していたが、EVの販売の伸び悩みやZEVの販売割合義務付け(ZEVマンデート)が導入される中、産業界からの需要喚起策を求める声も受け、再導入に踏み切った(2025年4月15日記事参照)。

対象は3万7,000ポンド以下のEV(注)。補助額は、車両の組み立てやバッテリーの生産を行う国の電力の炭素集約度など生産工程における排出量も踏まえて、2段階(3,750ポンドと1,500ポンド)で設定される。自動車メーカーはモデルごとに申請を行い、車両型式認可機関(VCA)が技術要件、ZEV局(OZEV)が環境要件を審査し補助額を決定する。現時点では2028年度までの措置とされているが、申請状況などによっては措置の変更や早期の終了などの可能性もあるとしている。

また、英政府は7月13日にも、ZEVの製造支援に資する国内のプロジェクトに対する資金提供を強化すべく、新たなプログラム「DRIVE35」を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2035年までに25億ポンドを投じる。自動車変革基金(ATF)を通じた大規模投資プロジェクトの支援のほか、プロジェクト拡大に向けた研究開発(R&D)資金の提供、革新的な技術や生産工程に対する研究開発プロジェクトの支援などを行う。併せて、特定の自動車製造企業やプロジェクトに対して3億ポンド超を投じることも発表した。ATFを通じ、自動車製造業に対し1億ポンドを投じるほか、R&Dへの投資などを行うとしている。日本企業では、アステモがイングランド北部ボルトンの工場への次世代EV向けインバーター製造ラインの新設に向けて、最大1億ポンドを投資すると発表。ATFの適用を受け、2027年4月以降に製造を開始する予定としている。

英政府は同日、EVインフラ強化に向けて6,300万ポンドの投資も発表した。自治体向けに2,500万ポンドを拠出し住宅における充電コストの削減を図るほか、物流拠点などへの充電設備設置の支援に3,000万ポンド、国営医療サービス(NHS)の救急車・医療車両のEV化に800万ポンドを投じる。

(注)燃料電池車も対象。

(バリオ純枝)

(英国)

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