ハイブリッド車販売を2035年まで許可、ZEVマンデートも緩和

(英国)

ロンドン発

2025年04月15日

英国政府は4月6日、ガソリン・ディーゼル車の新車販売禁止およびゼロエミッション車(ZEV)の販売割合義務付け(ZEVマンデート、2023年9月29日記事参照)について新たな措置を発表した(詳細は英国政府ウェブサイト参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。電気自動車(EV)の販売台数の伸びが鈍化(2024年11月26日記事参照)する中で、英国政府は2024年12月~2025年2月に意見公募を実施し、今回の発表は政府の回答という位置付けになっている。主な内容は次のとおり。

  • 2030年に純粋な内燃機関搭載乗用車の新車販売禁止、2035年に乗用車・バンの新車販売のゼロエミッション化という目標を再確認。ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)については2035年まで、2030年以降も新車販売を認める。
  • 2030年以降、当該年に販売した非ZEVの乗用車の平均排出量の上限を設定。
  • 零細(年間登録台数1,000台未満)・小規模メーカー(同1,000台以上~2,500台未満)については2030年の内燃車の新車販売禁止の対象外。2030年以降の排出量削減義務に関しては、零細メーカーは適用外となるものの、小規模メーカーについては特例申請が必要。
  • ZEVマンデートのアロウアンス(注)の前借りを認める期間を2029年まで延長。返済は2030年まで認める。目標割合に対する利用上限も更新(添付資料表参照)。
  • 非ZEVの排出削減要件の過達成分につき、ZEVマンデートのアロウアンスへの互換(Transfer)を認める期間を2029年まで延長。2025年~2026年の互換可能な上限も引き上げ。
  • ZEVマンデートにつき、乗用車、バンの間での過達成分(クレジット)の交換を認める。バン1台につき乗用車2台分、乗用車1台につきバン0.4台分とみなす。
  • 罰金を減額。アロウアンス1単位あたり乗用車については1万5,000ポンド(約282万円、1ポンド=約188円)から1万2,000ポンド、バンについては1万8,000ポンドから1万5,000ポンドへ減額。

キア・スターマー首相は同日、EV目標は国内メーカーに資するものでなければならないとし、重い罰金を支払わせたり、外国のEVメーカーからクレジットを購入させたりするようなことはしたくないと述べ、今回の措置を発表したとしている。

今回の発表に関し、英国自動車製造販売者協会(SMMT)は、措置の緩和を歓迎しつつ、需要を喚起するための大胆なインセンティブを求めた。さらに、米国による関税という厳しい逆風の中で、国内自動車産業の競争力の保護に向けたさらなる取り組みが必要になるとした。

(注)各メーカーの販売台数と当該年の目標割合に応じて、アロウアンスが毎年付与される。メーカーは、当該年に販売したゼロエミッションではない乗用車またはバン(非ZEV)1台当たりに対して1つのアロウアンスを使用する。

(ワルダ・ホリー、野崎麻由美)

(英国)

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