欧州化学工業連盟、欧州委の行動計画を歓迎、エネルギー価格低落を期待
(EU)
ブリュッセル発
2025年07月23日
欧州化学工業連盟(Cefic)は7月8日、欧州委員会が同日発表したEU域内の化学業界の支援に係る行動計画(2025年7月17日記事参照)は、同業界の競争力とレジリエンス強化に向けた重要な一歩と歓迎した(プレスリリース)。
同業界は、2023年に域内生産能力の5%に相当する生産拠点が閉鎖するなど、域内の生産体制の維持が危ぶまれている。行動計画は域内外からの投資を促すもので、エネルギー価格の引き下げや規制の簡素化、さらに化学業界の脱炭素化に向けて具体策を盛り込んだと評価した。特に、同行動計画、クリーン産業ディール国家補助枠組み(CISAF、2025年6月30日記事参照)と国家補助ガイドラインの改定を組み合わせることは、エネルギー価格を大きく下げる「ゲームチェンジャー」になると強い期待を示し、行動計画の迅速な展開や加盟国の政策調整を要請した。
また、REACH規則の簡素化法案など、今後発表予定の施策にも期待を示すと同時に、2026年のEU排出量取引制度(EU ETS、2022年12月20日記事参照)の見直しが、エネルギー集約型産業にとって次の正念場との認識を示した。
2040年目標に向け、2030年以降のカーボンリーケージ対策の策定などが必要と指摘
Ceficは、化学業界は2040年までに気候中立を達成できると見込むが、欧州委が7月2日に提示したEUの2040年の温室効果ガス排出削減目標(2025年7月8日記事参照)に関し、翌7月3日、「柔軟でコスト効率を重視した道筋を示そうとしている」と歓迎した(プレスリリース)。しかし、欧州委は目標達成に向けた具体策の特定や定量化ができていないとし、(1)ネットゼロ、低炭素や循環型製品の市場確立、(2)コスト面で競争力のある再生可能エネルギーや低炭素エネルギーの供給インフラの整備、(3)強固で効果的な2030年以降のカーボンリーケージ対策枠組みの策定、の3つを優先事項に挙げ、包括的な法案の策定が必要と述べた。
(滝澤祥子)
(EU)
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