李大統領、初の記者会見で経済回復や先端産業投資などの政策方針語る
(韓国)
ソウル発
2025年07月07日
韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は就任30日を迎え、7月3日に青瓦台迎賓館(注1)で就任後初めての記者会見を行った。大統領室によると、記者会見には155人の国内外の記者が集まり、質疑応答も含めて122分間行われた。李大統領は就任後30日間の実績を振り返るとともに、今後の政策に係る方向性などを示した。
経済や通商・外交に係る実績について次のように述べた。
- 崩壊した国民生活の回復に全力を注いでおり、「非常経済点検タスクフォース」を稼働させ、国民経済を立て直す知恵を集めている。歴代のどの政権よりも早く30兆5,000億ウォン(約3兆3,550億円、1ウォン=約0.11円)規模の追加予算案を編成した。景気回復と消費喚起の呼び水になることを期待する。
- G7首脳会議に出席し、民主主義の回復、経済の回復、正常な外交の回復を世界に伝えた(2025年6月23日記事参照)。韓米通商交渉も「国益中心の実用外交」の原則に基づき、互恵的で共存可能な結果を出せるよう全力を尽くしている。
- 韓(朝鮮)半島の平和と安定を確保し、国民の日常生活が揺るがない国の第一歩を踏み出した。南北軍事境界線地域の住民の安眠を妨げていた対南・対北放送を断ち切った。
次いで、経済や通商・外交分野の今後の政策方針については、次のように述べた。
- 国民生活の苦痛を軽減し、再び成長・飛躍する国を作ることが最優先課題だ。生活費の負担軽減のための施策を総動員する。
- 今日の困難を乗り越え、持続可能な成長の原動力を作らなければならない。AI(人工知能)、半導体などの先端技術産業、「エネルギー高速道路」を含む再生可能エネルギー産業、文化産業に至るまで、未来への投資を惜しまない(注2)。
- 「資本市場の先進化」を通じて「KOSPI(韓国総合株価指数)5,000時代」の準備をする。市場資金が非生産的な領域から生産的な領域に流れ、経済の好循環構造が回復できるよう努力を行う。また、実効性のある対策で不動産市場の安定化に注力する。
- 首都圏一極集中を克服する「国土均衡発展」、大企業と中小企業、ベンチャー・スタートアップ企業が協力・共存する「産業均衡発展」により、「全て人にとっての成長」を実現する。
- 堅固な韓米同盟と緊密な韓米日協力、中国・ロシアとの迅速な関係改善を基盤とした「国益中心の実用外交」を通じ、平和と国民の生活を守る。
最後に、国民との直接的な対話を日常化・制度化し、国政運営に積極的に反映する「国民が主人である国」を目指すことも強調した。
(注1)青瓦台には2022年5月まで大統領府が置かれ、歴代大統領はそこで職務を行っていた。尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領が大統領府を龍山(ヨンサン)に移転して以降、青瓦台は国民に一般開放されていた。李大統領は大統領府を青瓦台に戻す方針を明らかにしており、順次準備を進めている。
(注2)李大統領は大統領選挙時の公約として、人工知能(AI)やバイオなど先端産業への投資、「エネルギー高速道路」による電力網構築、グローバルソフトパワー(文化産業)の強化などを掲げた(2025年6月4日記事参照)。
(橋爪直輝)
(韓国)
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