米、スリランカに30%追加関税を発表、前回発表から14ポイント引き下げ

(スリランカ、米国)

コロンボ発

2025年07月14日

米国のドナルド・トランプ大統領は7月9日、スリランカに対して8月1日から30%の追加関税を課すと発表した。スリランカに対する相互関税率は4月発表の44%(2025年4月7日記事参照)から14ポイント引き下げ、7月7日と9日に新税率が通告された22カ国の中では、最大の引き下げ幅になった(注、2025年7月8日記事参照2025年7月10日記事参照)。

スリランカ政府は2025年4月以降、米国政府と相互関税を巡る協議を実施してきた(2025年5月7日記事参照)。政府交渉団の一員のハルシャナ・スーリヤッペルマ財務次官は10日の記者会見で、米国政府と今後も交渉を継続し、8月1日までにさらなる関税率の削減を目指す考えを明らかにした。

背景には、スリランカ産業界は今回の追加関税引き下げ決定を前向きに評価する一方で、さらなる関税削減を求めていることがある。セイロン商工会議所は今回の関税率削減について、「バングラデシュなどの競合国の税率に近づける建設的で重要な第一歩だ」と評価したものの、「スリランカの競争優位を図る上でさらなる関税率の削減が極めて重要だ」として、米国政府との交渉の進展を促した。一方、アパレル団体連合フォーラム(Joint Apparel Association Forum)は、インドやバングラデシュ、カンボジアやベトナムなどの競合国に対する関税率がさらに下がる可能性があるとして、8月1日までの米国政府との交渉継続を求めた(「デーリー・ミラー」紙7月11日)。

スリランカ輸出開発局(EDB)によると、米国は、国・地域別の財輸出額全体の22.9%を占めるスリランカ最大の輸出先で、特に衣料品やゴム製品への輸出への影響が懸念されている(2025年4月7日記事参照)。

(注)ブラジルについては、2025年4月に相互関税は設定されておらず、今回新たに50%が設定された。

(大井裕貴)

(スリランカ、米国)

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