欧州委員会、フランスをトリマン・マークのEU法違反で提訴
(フランス、EU )
パリ発
2025年07月28日
欧州委員会は7月17日、フランスの廃棄物分別に関するトリマン・マーク(2021年11月25日記事参照)の規制がEU法に違反しているとして、フランスをEU司法裁判所(CJEU)に提訴することを決定した、と発表した。
トリマン・マーク(「トリマン」は「分別する人」の意)はフランス独自のロゴ。トリマン・マークと分別廃棄に関する情報(Info-tri)のロゴ貼付は、循環経済法(2020年6月4日付地域・分析レポート参照)により規定された。フランスに市場投入される拡大生産者責任(EPR)(フランス語)の対象となる産業分野の一般家庭用の製品に対し、2022年1月1日からトリマン・マークとInfo-triのロゴ
(フランス語)の貼付が義務付けられている。
欧州委は、フランス独自のトリマン・マークとInfo-triの貼付義務は、事業者に対しフランス市場向けの製品への特別な対応を強制するものであり、EU域内の物品の自由な移動を妨げるとし、「EUの機能に関する条約」の34条から36条に違反する、と判断した。フランスが、欧州単一市場透明性指令
に基づき草案の段階で欧州委に通知する義務を怠ったことも問題とした。欧州委は、フランスに2023年2月に催告を送付、2024年11月に理由を付した意見書を送付したが、改善が見られなかったため提訴を決断した。
EUレベルでは、EU域内の包装全般の廃棄物削減などを目的とする新たな包装・包装廃棄物規則(2024年12月20日記事参照)が2025年1月22日に公布された。今後規定される同規則の実施規則により、EU域内統一の廃棄分別表示規制の詳細が決定される予定だ。
2025年7月18日付ウェブ版の「ル・モンド」紙によると、エコロジー移行・生物多様性・森林・海洋・漁業省は、「トリマン・マークの維持を望む」としつつ、「国内法は2028年8月施行予定のEU規制(包装・包装廃棄物規則)には適合させる」とし、EU規制の施行により訴訟は終結するだろうとの見解を示した。
今後のトリマン・マークの行方が注視される。
(奥山直子)
(フランス、EU )
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