自動輸入通知を巡る諸問題、経済省にヒアリング

(メキシコ)

メキシコ発

2025年07月03日

メキシコ日本商工会議所は6月26日、メキシコ経済省と会談し、自動輸入通知の問題についてヒアリングを行った。自動輸入通知とは、鉄鋼や鉄鋼製品を確定輸入する際に、経済省に対して事前に通知する制度(2024年4月17日記事参照)だ。同制度では2024年4月15日の改正後、ミルシート(鋼材検査証明書)のスペイン語翻訳を巡り、申請の却下や承認の遅延など、問題が多発している。メキシコ国内への鉄鋼輸入だけでなく、現地での生産活動にも影響が出ており、現在でも解消されていない。

また、2025年6月初旬にはマルセロ・エブラル経済相が本件について、ミル(製鋼所)の登録(注1)に関して経済省が中国やベトナムの現地調査を行った際、申請内容の不備や実体のない住所の記載などがあったとして、約2,000件あったミル登録を約1,000件まで削除したことを発表した経緯があった。

今回の会合で、フェリックス・ウィルフリード経済省商業促進・貿易局(DGFCCE)局長とルイス・エンリケ・バスケスDGFCCE技術局長が、自動輸入通知に関して言及した内容は次のとおり。

  • 経済省としても遅延は認識しているものの、省内で自動輸入通知に対応するリソースは限られており、少人数で大量の通知を目視で確認しなければならない状況だ。
  • 自動輸入通知を行う際、1つの申請については1回のみ申請してほしい。同じ申請を複数回行う企業が多いが、突合にさらなる時間を要する。
  • 自動輸入通知の有効期限は連邦官報に記載のとおり4カ月間。輸入が決まった段階で、余裕をもって申請してほしい。
  • ミルシートの中に可能な限り、シートの内容が確認できるQRコードを添付してほしい。もし添付が難しい場合、「カルタ・レスポンシーバ(Carta responsiva)」(注2)を最初の申請時に提出してもよい。ただし、QRコード添付時に、内容がミルシートの内容と異なる場合があるため注意してほしい。

経済省は自動輸入通知の遅延問題について、引き続き鋭意対処していくとした。

(注1)鉄鋼・鉄鋼製品の輸入にはミル登録が必要で、ミル登録を削除された企業または登録に記載のない企業からの輸入は禁止されている。なお、2025年6月3日付のミル登録企業数は1,132件となっている。

(注2)「カルタ・レスポンシーバ(Carta responsiva)」は、経済省が輸入自動通知の判定の際に、ミルシートに署名・押印・QRコードがないと判定し、当該通知を却下された後、輸入者の責任をもって、ミルシートが正しいものであることを宣言する書類。本来であれば、経済省からの却下通知後に再申請するものだが、自動輸入通知に迅速に対応するために、最初の申請時に添付することが推奨された。カルタ・レスポンシーバのフォーマットは、自動輸入通知の特設ページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照(2024年5月30日記事参照)。

(阿部眞弘)

(メキシコ)

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