トランプ米大統領がインドネシアとの通商協議の合意を発表も、いまだ公式発表はなし
(米国、インドネシア)
ニューヨーク発
2025年07月17日
米国のドナルド・トランプ大統領は7月15日、自身のSNSでインドネシアとの通商協議が合意に達したと発表した。インドネシアは4月以降、米国との通商協議を本格化させており(2025年5月1日記事参照)、トランプ大統領はインドネシアのプラボウォ・スビアント大統領との会談後に合意を発表した。
トランプ大統領のSNSによれば、インドネシアは米国のエネルギー製品150億ドル、農産物45億ドル、ボーイング機50機の購入を約束した。また、米国のインドネシアに対する追加関税率は19%とした。トランプ大統領は7月7日に、インドネシアに対して8月1日から32%の追加関税を課す書簡を公開しており(2025年7月8日記事参照)、同税率からは引き下げられた(注)。一方で、インドネシアの関税および非関税障壁は完全に撤廃され、米国は「完全かつ無制限なアクセス」を得たという。ただし、同合意に関する公式文書は発表されていない。WTOによれば、2024年のインドネシアの平均関税率は8.0%で、関税障壁などが米国に対してのみ本当に撤廃されるかは不透明だ。
トランプ政権は、ベトナムとの通商合意も発表したが(2025年7月3日記事参照)、インドネシア同様、公式文書はまだ発表していない。一部には、ベトナム側が合意していない、との報道もある。政治専門紙「ポリティコ」(7月15日)は、トランプ大統領がベトナムとの合意直前に介入したと伝えており、トランプ政権1期目で国家安全保障会議(NSC)の大統領副補佐官兼上級部長(南アジア・中央アジア担当)を務めたリサ・カーティス氏は「これがトランプだ。全てが署名され、封緘(ふうかん)され、手渡されるまで、一定の緊張感は残るだろう」と指摘している。なお、ポリティコは、8月1日以降に追加関税を課す書簡を送られなかったことは良い兆候だとし、台湾、スイス、インドが合意に近いとも伝えている。
(注)インドネシアに対する、4月に発表された相互関税率も32%だった。
(赤平大寿)
(米国、インドネシア)
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