環境配慮車の無関税輸入枠の割り当て完了、中国ブランドが圧倒的存在感

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2025年07月29日

アルゼンチン経済省は7月28日、経済省工業・商業庁決議295/2025号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布し、2025年の環境配慮車の無関税輸入枠5万台のうち、4月16日に公布した1回目の割り当て枠(2025年4月22日記事参照)を差し引いた残りの枠を申請者に割り当てた。1回目の割り当て後に使用されなかった枠は、2回目の割り当て総数に加算して再配分した。今回の割り当て台数は2万2,998台で、うち6,458台をアルゼンチン国内で完成車を生産するメーカーに、残りの1万6,540台をそれ以外の企業に割り当てた(添付資料表1、2参照)。これにより、5万台の全ての枠が割り当てられた。

2回目の割り当て結果を見ると、1回目と同様、枠のほとんどを中国メーカーの環境配慮車が占めた。この制度の対象となる環境配慮車は、FOB価格が1万6,000ドルを超えないもので、この価格条件を満たせるのは安価な中国車に限られたとみられる。1回目の割り当て台数が1,300台だった中国のEV大手BYDは、今回6,508台の割り当てを受けた。モデルをみると、バッテリー式電気自動車(BEV)はそのうち3,890台、残りはプラグインハイブリッド車(PHEV)だ。

アルゼンチン自動車販売代理店協会(ACARA)は、2025年下半期から環境配慮車の輸入が本格的に始まり、これが市場に影響を与える可能性が高く、特に中国系ブランドが市場シェアを大きく伸ばす可能性があるとしている。また、同年上半期の国内の自動車販売(新車登録)台数に占める中国ブランド車のシェアは1.2%にすぎないが、環境配慮車の無関税輸入枠により、これが5%近くまで増えると予測している。

ACARAによると、2025年上半期の環境配慮車の販売台数は前年同期比55.9%増の1万2,335台だった。同時期の自動車販売台数は32万195台で(2025年7月25日記事参照)、環境配慮車はそのうち3.9%を占めるにすぎないが、少しずつ存在感を増している。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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