環境配慮車の無関税輸入枠を割り当て、中国ブランドが存在感

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2025年04月22日

アルゼンチン経済省は4月16日、産業政策管理局規則32/2025号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布し、環境配慮車の無関税輸入枠を申請者に割り当てた。

この制度では、初年度の2025年度から5年間、年間5万台の環境配慮車を無税で輸入することができる。5万台の無関税輸入枠のうち2万5,000台は、国内で生産する完成車メーカーに、残りの2万5,000台は、それ以外の法人、個人に割り当てる。対象となるのは、従来の内燃機関に代わる動力技術を使用した自動車で、具体的には、ハイブリッド車(HEV)、バッテリー式電気自動車(BEV)、燃料電池車(水素自動車)で、FOB価格が1万6,000ドルを超えないことを条件としている。

同規則によると、今回、国内で生産する完成車メーカー6社に1万1,563台、それ以外の法人14社に2万1,464台を割り当てた(添付資料表1、2参照)。残りの1万6,973台は今後割り当てられる。割当枠を技術別に見ると、HEVが1万9,675台、プラグインハイブリッド車(PHEV)が9,670台、BEVが3,682台となっている。

完成車メーカーのうち2社は、アルゼンチン自動車製造業者協会(ADEFA)に加盟する大手メーカーではない。ラリトールは、中国のJMC(江鈴汽車)のトラックを2023年からアルゼンチン国内で組み立てており、ボルトは、超小型EV(電気自動車)をコルドバ州で生産する企業だ。2社ともに中国ブランドのPHEV、BEVを輸入する。ステランティス傘下のFCAも、合弁を組む中国のリープモーター(零跑汽車)のPHEVを輸入する。完成車メーカーの割り当て枠で輸入される環境配慮車の45.3%を中国ブランドが占める。

完成車メーカー以外の法人への割り当て枠を見ると、全台数の81.7%を中国ブランドが占めた。ここに上海汽車傘下の英国のブランドMGを加えれば、ヒョンデ(現代)とアルファロメオを除く、全台数の95.8%が中国ブランドである。

その中で、中国のBYDは1,300台の輸入枠を得た。4月4日付の現地紙「ラ・ナシオン」(電子版)は、BYDがアルゼンチンでの自動車販売の開始と販路拡大を念頭に、現地での求人募集を開始したと報じている。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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