インド政府、バングラデシュ産ジュートなどの輸入経路を制限

(インド、バングラデシュ)

ニューデリー発

2025年07月23日

インド商工省外国貿易部(DGFT)は6月27日、バングラデシュからのジュートなど一部品目の輸入経路を制限すると通知し、即時発効させた(添付資料参照)。

対象品目には9つのHSコードが指定され、ジュートや亜麻の糸、織物などが含まれる。同品目については、陸路の輸入を禁止するほか、海路も、バングラデシュから近いインド東部の港の利用は禁止し、インド西部ムンバイのナバシェバ港(JNPT=Jawaharlal Nehru Port Trust)からの輸入のみ許可する。インドを経由したネパールやブータンへの輸出は適用外だが、バングラデシュから両国に輸出された上記製品のインドへの再輸出は禁止する。

ジュートはバングラデシュとインドが世界の主な生産地で、両国で重要な産業となっている。インドではジュート生産地の東部や北東部が産業集積地となっていて、商工省傘下のインド・ブランド・エクイティー・ファンド(IBEF)のレポートによると、約40万人の雇用を創出している。インド政府はバングラデシュ産ジュートに対し、国内産業保護のため、2017年1月からアンチダンピング関税を課しているが、ジュート製造工業会などの要請を受けて、6月30日には商工省貿易救済局(DGTR)が規制強化に向けた見直しの開始を発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。

インド政府は2025年3月のバングラデシュ暫定政権のムハンマド・ユヌス首席顧問の北東インド地域に対する発言(注)をきっかけとして、バングラデシュに対する貿易面での措置を相次いで導入している。4月8日にインド財務省間接税関税中央委員会(CBIC)がバングラデシュからインドを経由した第三国(ネパールとブータンを除く)への貨物輸出を認める規則を停止し(2025年4月16日記事参照)、5月17日にはDGFTがバングラデシュからの一部品目の輸入経路制限を通達した(2025年5月21日記事参照)。今回の措置は、国内のジュート産業保護とバングラデシュの中国への接近に対する反発が背景にあるとみられる。

(注)ユヌス首席顧問は2025年3月末の訪中時に、「インドの北東7州は内陸地域で、海へのアクセスがない。われわれはこの地域の唯一の海の守護者で、これは大きなチャンスでもある。中国経済圏は(この地域への)拡大の可能性がある」と発言したとされ、インド側は北東インド地域に対する侮辱だとして強く反発していた(2025年4月16日記事参照)。

(丸山春花)

(インド、バングラデシュ)

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