バングラデシュからインド経由の第三国への貨物輸出、ネパール・ブータン以外不可に

(インド、バングラデシュ)

ニューデリー発

2025年04月16日

インド財務省間接税関税中央委員会(CBIC)は4月8日、2020年6月29日付で通達され、バングラデシュからインド内の空港や港で積み替えを行って第三国へ輸出することを認める貨物の通関に関する規則を即時撤廃することを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。これにより、陸路でインドから輸出入が可能なネパールとブータンを除き、バングラデシュからインドを経由して物品を輸出することができなくなった。なお、既にインドに入っていた貨物については、インドからの出国が許可される。

バングラデシュ現地メディアの報道によると、これまで物流コストの低さから、バングラデシュの主要輸出品目の衣料品を中心に、多くの物品がインド経由で第三国に輸出されていた。2024年1月~2025年3月の15カ月間にバングラデシュからインドを介して第三国へ輸出された衣料品は4億6,200万ドル(月平均3,080万ドル)で、輸出先は36カ国に及んだ(「ダッカ・トリビューン」紙4月12日)。

今回の通達により、インドでの積み替えが想定されていた貨物はバングラデシュ内の空港や港からの輸出に切り替える必要に迫られている。航空便の不足や物流コスト上昇などが予想され、バングラデシュの主要産業のアパレル産業の価格競争力低下が懸念されている。

インドの現地メディアでは、今回の通達は2025年3月末のバングラデシュのムハンマド・ユヌス首席顧問の北京訪問時の発言に対する対抗措置と報じられている(「タイムズ・オブ・インディア」紙4月10日など)。ユヌス氏はバングラデシュ北部に位置するインドの北東地域について、「インドの北東7州は内陸地域で、海へのアクセスがない。われわれはこの地域の唯一の海の守護者で、これは大きなチャンスでもある。中国経済圏は(この地域への)拡大可能性がある。」と発言したとされる。これに対して、北東インド地域に対する侮辱だとしてインド側は強く反発していた。

4月4日には、インドのナレンドラ・モディ首相とバングラデシュ暫定政権のムハンマド・ユヌス首席顧問の初の首脳会談が実現したばかりだった(2025年4月16日記事参照)。4,096キロの長い国境線で接し、歴史的にも深い関係性がある両国は、近年は良好な関係を築いていたが、2024年8月にバングラデシュの親インド派政権が崩壊したことで、関係性は不安定な状況に陥っている。

(丸山春花)

(インド、バングラデシュ)

ビジネス短信 6ac7af3c4dbdf598