欧州委のフォン・デア・ライエン委員長、米関税への対抗措置の発動延期を発表
(EU、米国)
ブリュッセル発
2025年07月15日
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は7月12日、発動予定日が15日に迫っている鉄鋼・アルミニウム製品を対象にした米国による追加関税への対抗措置(2025年4月16日記事参照)に関し、8月初旬まで実施を延期すると、記者会見で発表した。今回の発表は、米国のドナルド・トランプ大統領が公開した8月1日からEUに対して30%の追加関税を課すとの通知(2025年7月14日記事参照)を受けたものだ。
フォン・デア・ライエン委員長は交渉による解決を望むとの姿勢を強調し、対抗措置の発動を延期して、8月1日までの合意に向けて米国との協議を続けるとした。一方で、対抗措置の準備も並行して進めており、必要に応じて対抗措置をとる準備はできているとする従来の姿勢をあらためて示した。
同委員長は続けて、米国の自動車・同部品を対象とした追加関税と一律10%のベースライン関税を含む相互関税に対する対抗措置(2025年5月13日記事参照)の対象品目についても、既に合意がとれていると発言した。政治専門紙「ポリティコ」によると、欧州委は米国による30%の追加関税に備え、当初の提案よりも小さい720億ユーロ規模の対抗措置で、加盟国との調整を進めている。
(吉沼啓介)
(EU、米国)
ビジネス短信 13c60cdd6ea5e5f9