米国商工会議所が今後6カ月間、追加関税率は現在よりも若干高まると予測、米メディア報道
(米国、世界)
ニューヨーク発
2025年06月23日
米国商工会議所は6月19日、会員企業向けに、今後6カ月間の米国の追加関税の見通しを伝えた。その内容を、米国の政治専門誌「ポリティコ」(6月19日)が報じた。
商工会議所が出した書簡によると、同所が会員企業から最も頻繁に受ける質問の1つが「今後、関税水準はどのように推移する見込みか」だ。商工会議所はこれに対し、追加関税措置はほぼ毎週のように変化していることなどから、この質問に回答することは「ほぼ不可能」としながらも、今後6カ月間で最も起こり得る結果についての予測はできるとした。その上で、今後6カ月間で、追加関税率は現在の水準より高くなるものの、4月に発表された相互関税率(2025年4月11日記事参照)が適用される状態ほど高くはならない、との見通しを示した。追加関税率が現在よりも高くなる要因には、次を挙げた。
- 1962年通商拡大法232条に基づいて、新たな産業に追加関税が課される可能性が高いこと
- 現在行われている通商交渉で、ベースライン関税10%が撤廃される可能性が低いこと
- EUや中国に対する追加関税の適用停止の合意期限はそれぞれ7月、8月で、それまで関税が不安定なこと(2025年5月13日記事参照)
- 50%ほどにも達する相互関税が、可能性は高くないにしろ、復活し得ること
- 国際緊急経済権限法(IEEPA)が違憲と判断されても、大統領は他の通商法を利用して追加関税を課せること(2025年6月12日記事参照)
書簡ではまた、各追加関税措置が今後も維持されるかについて、それぞれ5段階で評価した(1が維持される見込みが最も高く、5が最も低い)。主な関税の評価と理由は次のとおり。
- 中国に対する追加関税:1(たとえIEEPAが違憲と判断されても、1974年通商法301条に基づく追加関税率の変更などにより、措置は継続できるため)
- ベースライン関税:2(英国との合意でも維持されたことや(2025年6月18日記事参照)、IEEPA以外にも、巨額かつ重大な国際収支赤字に対処するため大統領が15%を超えない範囲の輸入課徴金など150日を限度に賦課できる1974年通商法122条の利用が考えられるため)
- 232条に基づく鉄鋼・アルミ、自動車・同部品に対する追加関税:2(大統領に撤廃する意向が見られないため)
- 232条に基づき調査中の銅、半導体、医薬品、中・大型トラック:2、木材、重要鉱物、民間航空機:3
7月9日の相互関税の適用停止期限が約3週間後に迫る中、これら追加関税措置の行方に関心が高まっている。今後の追加関税措置の行方を検証する上では、各措置の目的や根拠法がそれぞれ異なることから、今回、米国商工会議所が行ったように、個別の措置ごとに検証することが重要となる。
(赤平大寿)
(米国、世界)
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