中国に対する相互関税率の引き下げは5月14日から適用、少額貨物への関税率も削減
(米国、中国)
ニューヨーク発
2025年05月14日
米国税関・国境警備局(CBP)は5月13日、中国に対する相互関税の引き下げに関するガイダンスと、中国からの少額貨物の関税率に関するガイダンス
を発表した。中国からの輸入に対して、翌14日から、相互関税率125%の代わりに、ベースライン関税10%を適用する(注1)。少額貨物に対する関税率も削減する。
米中両国は5月12日に経済と貿易に関する会談の共同声明を発表し、米国は14日までに中国に対して125%まで引き上げた相互関税率を廃止し、当初の34%に戻すとともに、そのうち24%分の執行を90日間停止し、ベースライン関税の10%を適用することで合意していた(2025年5月13日記事参照)。ベースライン関税は米国東部時間5月14日午前0時1分以降に通関した貨物から適用する。
また、国際郵便ネットワークを通じて中国または香港から出荷された輸入申告額800ドル以下の少額貨物(注2)も、5月14日午前0時1分以降の通関から、従価税を120%から54%に引き下げる。郵便物1件につき100ドルを課す従量税は維持するが、6月1日に予定していた200ドルへの引き上げは行わない。
米中両国は、共同声明で合意した内容を履行後、経済・貿易協議を継続するためのメカニズムを設立することで合意している。米国側が共同声明の合意内容の履行を発表したことから、今後は継続協議によって、残りの追加関税や中国側の輸出管理強化などが改善されるかといった点が焦点になる。
(注1)ただし、1974年通商法301条に基づく中国原産品への7.5~100%の追加関税や、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく合成麻薬フェンタニルの流入防止を目的とした中国原産品に対する20%の追加関税、1962年通商拡大法232条に基づく鉄鋼・アルミニウム製品や自動車・同部品に対する25%の追加関税に該当する品目の場合は、これら追加関税は適用される。
(注2)米国では、輸入申告額が800ドル以下の少額貨物の輸入に対して、関税支払いなどが免除される非課税基準額(デミニミス)ルールが適用される。トランプ氏は中国に対して、このデミニミスルールの適用停止を発表していた。
(赤平大寿)
(米国、中国)
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