トランプ米大統領、鉄鋼・アルミ追加関税率を50%に引き上げ表明
(米国、世界、日本)
ニューヨーク発
2025年06月03日
米国のドナルド・トランプ大統領は5月30日、ペンシルベニア州のUSスチールの工場で演説を行い、1962年通商拡大法232条に基づいて課している鉄鋼に対する追加関税率を25%から50%に引き上げると述べた。演説後にSNSに投稿した内容によると、アルミニウムに対する追加関税率も同様に50%に引き上げる。適用開始日は6月4日としている。ただし、2日午後時点で官報などでの正式な発表はされておらず、詳細は不明となっている。
トランプ氏は政権1期目の2018年に、232条に基づいて鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の追加関税を課した。2期目の政権発足後の2月10日には、アルミニウムに対する追加関税率の25%への引き上げや、国・地域別適用除外の廃止、対象品目への鉄鋼・アルミ派生品の追加などを定めた大統領布告を発表し、3月12日から適用を開始した(2025年4月7日記事参照)。さらに4月30日には大統領布告に基づき、商務省産業安全保障局(BIS)が対象品目の追加プロセスを設置する暫定最終規則(IFR)を発表した(2025年5月2日記事参照)。今回の発表は、これら一連の措置に続き、鉄鋼・アルミに対する関税措置を一層強化するものとなる。
トランプ氏は演説で、日本製鉄によるUSスチールの買収問題について、ペンシルベニア州ピッツバーグ市近郊のモン・バレー製鉄所での鉄鋼生産拡大に22億ドル、インディアナ、ミネソタ、アラバマ、アーカンソー各州の製鉄所の現代化などに70億ドルが投資されると述べた。一方で、どのようなかたちで買収を認めたのか、詳細は明らかにしなかった。日本製鉄によるUSスチール買収は、安全保障上の脅威がないか対米外国投資委員会(CFIUS)が審査し、トランプ氏はCFIUSの再審査の結果を受けて、「計画的な提携(パートナーシップ)」での買収を認めたと述べていた(2025年5月26日記事参照)。
(赤平大寿)
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