タイ政府、2025年のFTA戦略を発表、FTAカバー率は6割
(タイ、中国、韓国、インド、バングラデシュ、スリランカ、オーストラリア、ニュージーランド、EU、ブータン)
バンコク発
2025年06月18日
タイ商務省・貿易交渉局(DTN)のチョティマ・イアムサワスディクン局長は6月13日、2025年における自由貿易協定(FTA)交渉計画を発表した。
交渉継続中のタイEU・FTA(2025年5月7日記事参照)、タイ・韓国経済連携協定(EPA)(2025年5月2日記事参照)は2025年内の妥結を目指すほか、ASEANカナダFTAは合意目標を2026年に設定。タイが議長役を務めるASEANデジタル経済枠組み協定(DEFA)は2025年内の実質妥結を見据え、人工知能(AI)やフィンテック、サイバーセキュリティー、オンライン詐欺対策などの分野で議論が進展しているとした。
これまでの成果として、署名済みのタイ・スリランカFTAやタイEFTA・FTA(2024年12月10日記事参照)、タイ・ブータンFTA(2025年4月23日記事参照)は、国内手続き完了後、2026年までに発効させる見通しを示す。発効済みのFTAについても改正交渉が進んでいる。ASEAN・オーストラリア・ニュージーランドFTA(AANZFTA)の第2議定書は署名済み(2025年4月23日記事参照)、ASEAN中国FTA(ACFTA)とASEAN物品貿易協定(ATIGA)の改正交渉はいずれも妥結済み(2025年6月2日記事参照)と報告。また、ASEANインドFTA(AIFTA)は改正交渉中で、タイ・ペルー経済緊密化協定(TPCEP)は、関税(残り30%が未合意)とサービス分野の市場開放を含む改正交渉を進めており、2025年8月までの合意を目指しているという。
なお、FTA交渉入りはしていないラオスやフィリピン、英国などの貿易相手国とは、合同貿易委員会(JTC)会合を開催し、2国間の経済関係の強化を推進しているとした。タイは2025年5月にバングラデシュにもJTC開催を提案しており、同会合でFTA交渉開始が発表される可能性がある(2025年5月22日記事参照)。
タイ商務省によると、2025年1~3月のFTA相手国18カ国との貿易総額は969億ドルで、貿易総額の60%を占めた。うち、輸出額は451億4,000万ドル(輸出全体の55%)、輸入額は517億6,000万ドル(輸入全体の64%)に上る。主な輸出品目は自動車・同部品や精製石油、プラスチック原料、宝飾品、コンピュータ・同部品、プリント基板など、主な輸入品目は電気機器・同部品、機械・同部品、化学品、鉄鋼製品、プリント基板、鉱石・スクラップなどが占める。
(藪恭兵、シリンポーン・パックピンペット)
(タイ、中国、韓国、インド、バングラデシュ、スリランカ、オーストラリア、ニュージーランド、EU、ブータン)
ビジネス短信 7ffafcfb68721759