インド重工業省、EV国内製造誘致の輸入関税優遇策ガイドライン発表

(インド)

ニューデリー発

2025年06月10日

インド重工業省は6月2日、電気自動車(EV)国内生産促進のための輸入関税優遇策のガイドラインを発表した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。本スキームは2024年3月に発表されていたが(2024年3月22日記事参照)、今回、その詳細が発表されたかたちだ。

今回明らかになった詳細によると、申請承認日から3年間で最低415億ルピー(約706億円、1ルピー=約1.7円)の投資、3年以内のインド国内EV四輪車製造工場設置および製造開始、国内付加価値25%(かつ5年以内に50%)の達成などを条件として、CIF価格3万5,000ドル以上のEVを関税率15%で5年間輸入可能となる。申請受け付けは、近日中にオンラインで開始される予定だ。

本スキームは、2024年3月の発表時には、輸入時の関税率をCIF価格4万ドル以上のEVで100%、それ以外で70%から引き下げるとし、米国テスラがインド政府との協議で行った要求と一致しており、同社の製造拠点誘致を狙ったもの、と報道されていた(「ビジネス・スタンダード」紙2024年3月15日))。しかし最近になって、H・D・クマラスワミ重工業相が「テスラはショールームを開設して、輸入販売することのみを望んでおり、同社が近い将来、インドで自動車を製造する可能性は低い。欧州のメルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲン(VW)グループのシュコダ、韓国の現代、起亜がインドでの製造に関心を示している」と発言した、と報道されている(「エコノミックタイムズ」紙2025年6月2日)。

実際、テスラは西部ムンバイに初のショールームを開設するための不動産賃貸契約を締結した、と報じられており(「ビジネス・スタンダード」紙2025年3月6日)、販売拠点としてのインド進出の兆しもみられる。

なお、インドの2024年度(2024年4月~2025年3月)におけるEV(二輪車・三輪車を含む)新規登録台数は前年度比16.9%増の196万5,723台で、過去最高を記録した。うち、四輪車などは16.9%増の11万6,849台だった。EV市場は拡大が続いているものの、前年度比42%増を記録した2023年度と比べると、特に四輪車を中心として成長は鈍化している(2025年4月17日記事参照)。今回のスキーム発表による国内市場への影響が注視される。

(花村大樹)

(インド)

ビジネス短信 3c170478c95fc461