2024年の電力輸出総額が11.1%増加
(ラオス)
ビエンチャン発
2025年05月23日
ラオス・エネルギー鉱山省から入手した「ラオス電力統計2024」によると、2024年のラオス国内の総発電量は5万2,945ギガワット時(GWh)で、2023年の4万8,702GWhから8.7%増加した(添付資料表参照)。うち、水力発電が4万425GWh(前年比10.7%増)で総発電量の76.4%を占めた。2024年は、ナムグム4ダム〔240メガワット(MW)〕やナムシム3太陽光発電所(156MW)の商業発電の開始やラニーニャ現象による降雨に恵まれた。
また、火力発電は1万2,367GWh(前年比2.4%増)、太陽光発電は114GWh(21.6%増)に増加した。太陽光発電の増加はナムグム3太陽光発電所などの完成によるもの。バイオ発電は製紙工場のバイオ発電施設での発電が増加し、39GWh(45.9%増)となった。
電力輸出は、総発電量の79.6%に相当する4万2,143GWh(前年比12.3%増)で、輸出総額は26億5,500万ドル(11.1%増)だった。輸出先は、タイが総輸出量の87.2%を占める3万6,736GWh(13.2%増)で、金額は22億7,800万ドル(10.9%増)だった。これに、カンボジア〔構成比6.8%、2,873GWh(12.0%増)、2億1,000万ドル(11.8%増)〕、ベトナム〔5.8%、2,435GWh(4.9%増)、1億5,800万ドル(23.8%増)〕、ミャンマー〔0.23%、99GWh(1.0%増)、908万ドル(3.8%減)〕が続いた。
同年は、中国、シンガポール、マレーシア向けの輸出は行われなかった。中国向けには2022年6月からラオス北部から雲南省への電力輸出が開始されていた(2025年3月5日記事参照)。また、ASEANの「ラオス・タイ・マレーシア・シンガポール相互電力統合プロジェクト(LTMS-PIP)」のスキームのもとで、マレーシア向けは2018~2021年に、シンガポール向けは2022~2023年(2022年7月4日記事参照)に輸出が行われていた。
電力輸入では、乾季の電力不足期や国境周辺地域で輸入が行われ、2,621GWh(前年比48.5%増)、1億7,700万ドル(50.7%増)と大きく増加した。うち、タイからの輸入が2,445GWh(49.6%増)、1億6,500万ドル(52.1%増)、中国から114GWh(44.6%増)、600万ドル(44.3%増)、ベトナムから62GWh(19.2%増)、600万ドル(24.6%増)だった。
国内の電力消費は、1万2,583GWh(前年同期比8.6%増)だった。利用目的別でみると、工業用が4,803GWh(31.3%増)、住宅用が3,165GWh(16.1%増)、暗号通貨(暗号資産)マイニング用が2,675GWh(22.7%減)となり、製造業や鉱山開発が進んだ影響で工業用が大きく増大した。
なお、2024年はラオスで稼働する1MW以上の発電所は10施設、発電容量では543.7MW増加して109発電所、1万2,236MW(前年比4.7%増)となった。内訳は、水力90発電所、太陽光14発電所、バイオ4発電所、火力1発電所だ。
(山田健一郎)
(ラオス)
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