ラオス・中国間の500キロボルト送電線建設を開始
(ラオス、中国)
ビエンチャン発
2025年03月05日
ラオス国家送電網(EDL-T)は2月26日、ラオス北部ウドムサイ県ナモー郡から中国雲南省シーサンパンナを結ぶ500キロボルト(kV)高圧送電線のラオス区間の建設開始式典を行った。
同事業では、ナモー郡に500kV変電所と500kV送電線183.5キロメートルの建設を行う。また、ラオス北部の送電網を強化するために230kV送電線も建設するとしている。一方で、中国側の148キロメートルの送電線は中国南方送電網(CSG)が投資、建設を行う。本送電線は2026年中に完成し、ラオスと中国間の双方向の国際間送電を開始する計画だ。
これまでラオス北部と中国雲南省を結ぶ国際送電線では、115kV送電線が2009年に完成し、当初は雲南省からラオス北部向けへ電力が輸出されてきた。2022年6月以降は、ラオス北部から雲南省向けの輸出が開始され、雨季のラオスから中国向け輸出と乾季の中国からのラオスへの輸入の双方向で送電が行われている。エネルギー鉱山省によると、2023年の中国からの電力輸入は78.6ギガワット時(GWh)(前年比5.4倍)、418万8,000ドル(5.1倍)で、中国への輸出は15GWh(81.8%減)、64万7,000ドル(82.5%減)だった。
EDL-Tは、2020年にCSG傘下の南網メコン国際とラオスの国営企業であるラオス電力公社(EDL)が9対1の資本比率で設立が合意された、230kV以上の高圧送電線の建設、運営、保守と近隣諸国への接続を担う送電会社だ。
かつて、EDLは発電、送電、配電を垂直統合的に行っていたが、財務問題の解決のために2010年、EDLから分離独立するかたちで発電部門のEDL-GENが設立された(2023年5月9日記事参照)。また、高圧送電を担うEDL-Tは2021年3月に25年間のコンセッション契約を締結し、2024年1月に発足式を行っていた。今回の500kV送電線事業は、EDL-Tとしては初めての大規模送電線開発となる。
ラオス北部での送電線の建設に先がけ、電源開発も進められている。中国広核集団は2024年12月から、ウドムサイ県で1,000メガワット(MW)規模の大規模太陽光発電所の建設を開始しており、完成後は年間17億キロワット時(kWh)、約1,000万世帯分のクリーンエネルギーを生産し、雲南省へと輸出する計画だ。同社は、さらに隣接するルアンナムター県での風力発電580MWの開発など、ラオス北部において大規模クリーンエネルギー開発を行う。
(山田健一郎)
(ラオス、中国)
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