英中銀、4.25%へ政策金利引き下げを発表
(英国)
ロンドン発
2025年05月13日
英国イングランド銀行(BOE、中央銀行)は5月8日、政策金利を0.25ポイント引き下げ、4.25%にすると発表した。2月にも4.75%から4.5%に引き下げており(2025年2月14日記事参照)、2025年に入って2度目の利下げとなった。前日まで開かれていた金融政策委員会(MPC)で9人中5人が4.25%を支持。他の2人は4%への引き下げ、残る2人は据え置きを支持した。過去2年間の外的ショックの収束や金融政策の引き締めによる長期的なインフレ予測の安定化などを背景に決定した。一方で、インフレの中期見通しに関する今後のMPCの見解を踏まえ、さらなる緩和については段階的かつ慎重なアプローチをとるとしている。
BOEは同日、金融政策報告書も公表した。国内物価と賃金のディスインフレ(物価上昇率の低下)が継続し、3月のインフレ率は前月の2.8%から2.6%に低下。賃金上昇率は高止まりしているものの、2025年内に大幅に減速すると予測している。エネルギー価格は2月の報告書時点から低下したものの、それまでの価格上昇が4月以降のインフレ率押し上げの要因になりうるとし、2025年第3四半期に3.5%へ上昇し、その後インフレ率は低下すると見込んでいる。
関税と通商政策の不確実性は世界経済への新たなリスクとなり、英国の金利政策にとって、これらの動向がインフレの中期見通しにどのような影響を与えるかが重要とした。現行政策に基づくベースラインの予測では、新たな関税と通商政策のさらなる不確実性は世界の経済活動を抑制する方向に働くとし、英国ではインフレ率を押し下げる可能性が高いとしている。一方でBOEは、依然として国内物価および賃金の動向は不透明とし、2つの代替シナリオも示している。
なお、BOEの発表は米英間の通商合意(2025年5月9日記事、5月9日別記事参照)に先立って行われており、今回の予測については4月29日時点の各国の通商政策に基づいたものとしている。BOEのアンドリュー・ベイリー総裁は5月8日の政策金利の記者会見の場で、数時間後に詳細の発表が予定されていた米英間の合意について、詳細内容は聞いていないが歓迎するとコメントした、と報じられた(「BBC」5月8日)。
(野崎麻由美)
(英国)
ビジネス短信 c408fa38721a5ada