中銀、4カ月ぶりに政策金利を引き下げ、5.50%に
(インドネシア)
ジャカルタ発
2025年05月23日
インドネシア銀行(BI、中央銀行)は5月21日、前日から2日間にわたって開かれた理事会(金融政策決定会合)の結果、政策金利の7日間リバースレポ金利を0.25ポイント引き下げ、5.50%にすると発表した(5月21日BIプレスリリース)。併せて、翌日物預金ファシリティー金利は5.00%から4.75%へ、貸付ファシリティー金利も6.50%から6.25%へ引き下げた。政策金利の引き下げは2025年1月(5.75%への引き下げ)以来4カ月ぶりとなる(2025年1月20日記事参照)。
BIのペリー・ワルジヨ総裁は金融政策決定後の記者会見で、今回の利下げは「消費者物価指数の上昇率が1.5~3.5%の政府の目標範囲内で安定的に推移しており、2025年から2026年にかけて目標範囲内で推移する見通しであることやルピア相場が安定していることを踏まえたうえで、さらなる経済成長を促すための措置だ」と説明した。2025年4月のインフレ率は前年同月比1.95%と低水準で、BIの目標圏内にとどまっている。
ペリー総裁は、米国が相互関税の適用を90日間停止する措置を行ったことで、世界経済の不確実性は若干緩和されたものの、見通しは依然として流動的だとした。今後も警戒が必要だとして、内需拡大や輸出促進によって景気を下支えする必要性についても強調した。2025年第1四半期の実質GDP成長率は前年同期比4.87%にとどまり、2021年第4四半期以降で最も低かった(2025年5月9日記事参照)。なお、BIは2025年の経済成長率見通しを、従来の4.7~5.5%から4.6~5.4%へとわずかに下方修正している。
マンディリ銀行のチーフエコノミスト、アンドリー・アスモロ氏は今回の政策金利の引き下げについて、「インフレは目標レンジ内に収まり、ルピアへの圧力も第1四半期に比べ落ち着いた。競争力を損なわずに利下げをする余地は十分ある」として今後の追加利下げについて見解を示した。
一方、インドネシア大学経済経営学部経済社会研究所(LPEM FEB UI)のエコノミストであるテウク・リーフキー氏は「過度に早い緩和措置は、ようやく回復した通貨安定を損なう恐れがある。外部環境が読めない中、BIは慎重な判断を行うべきだ」と慎重な姿勢を示した(「コンパス」5月21日)。
(八木沼洋文)
(インドネシア)
ビジネス短信 b63e476c2e2f30ec