第1四半期のGDP成長率は前年同期比4.87%増、前期から成長鈍化
(インドネシア)
ジャカルタ発
2025年05月09日
インドネシア中央統計庁(BPS)は5月5日、2025年第1四半期(1~3月)のGDP成長率を前年同期比4.87%と発表した(添付資料図参照)。前期の5.02%から成長が鈍化した。
支出項目別では、GDPの5割超を占める家計最終消費支出が前年同期比4.89%増で最大の牽引役となったが、伸び率は前年同期の4.91%増から鈍化した。2024年第4四半期(10~12月)の総選挙関連支出の反動で、政府支出が1.38%減とマイナス成長に転じたことも、全体の成長を下押しした。投資などを示す総固定資本形成も2.12%増にとどまった。輸出は6.78%増と堅調で、輸入(3.96%)を上回ったことにより、純輸出は成長を押し上げた。
業種別では、主要17業種のうち鉱業を除く16業種が前年同期比でプラスだった。農林水産10.52%、その他サービス9.84%、企業サービス9.27%の順で成長率が高かった。農林水産については、天候要因などによって前年は低調だったコメやトウモロコシの収穫量がそれぞれ前年同期比51.45%増、39.02%増と大幅に増加したことや、ラマダン期間中の卵や肉などの畜産物需要の増加などが主な要因となった。
地域別では、全6地域のうちスラウェシ地域が前年同期比6.40%と、成長率が最も高く、GDPの6割弱を占めるジャワ地域が4.99%と続いた。ジャカルタ首都特別州の成長率は4.95%だった。
アイルランガ・ハルタルト経済担当調整相は第1四半期のGDP成長率について、「G20の中では中国(5.4%)に次いで2番目に高かった。ASEAN域内ではベトナム(6.9%)には及ばなかったものの、マレーシア(4.4%)やシンガポール(3.8%)を上回った。今後は政府予算の執行が本格化することで、成長の勢いは維持されるだろう」と述べた(「アンタラ」5月5日)。
インドネシア経済法律研究センター(CELIOS)のエコノミスト、ネイヌル・フダ氏は断食月(ラマダン)や断食明け大祭(レバラン)期間があったにもかかわらず、家計消費の伸びが鈍化した点を指摘し、国民の購買力の低下が経済減速の背景にあると分析している(「リパブリカ」5月5日)。
(八木沼洋文)
(インドネシア)
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