シンガポールとEU、デジタル貿易協定に署名

(シンガポール、EU)

シンガポール発

2025年05月09日

シンガポールのグレース・フー貿易関係担当相とマロシュ・シェフチョビッチ欧州委員会貿易・経済安全保障担当委員は5月7日、EUシンガポールデジタル貿易協定(EUSDTA)に署名した〔シンガポール貿易産業省(MTI)プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます欧州委員会プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〕。

MTIはEUSDTAの主な特徴として、(1)自由で開かれた安全なデータ流通の実現と促進、(2)エンド・ツー・エンドのデジタル貿易の円滑化、(3)信頼のある安全なデジタルシステムの確立、(4)企業・国民のデジタル経済の機会への参加とアクセス拡大を挙げた。具体的には、(1)は越境データ流通などで、電子商取引やそのほかのデジタル化された活動のための信頼ある越境データ流通を支援するため、データを特定の場所に保存する要件の禁止を含め、企業がデータを移転できることなどをEUSDTAで約束する。(2)は電子決済などで、国際的に認められた標準の採用と利用、さらには相互運用性を促進し、決済サービスでイノベーションと競争を奨励することなどを定めている。(3)はソースコードなどで、市場アクセスの条件としてソースコードの移転、またはソースコードへのアクセスを要求しないことなどを盛り込んでいる。(4)は中小企業のデジタル貿易機会への参加を拡大させるため、デジタルツールや技術の活用に関する情報、ベストプラクティスの交換に協力することなどを含んでいる。

EUSDTAの交渉開始は2023年7月に(2023年7月24日記事参照)、交渉妥結は2024年7月に発表されていた(2024年7月31日記事参照)。シンガポールとEUは今後、それぞれの手続きに従い、EUSDTAの批准と発効に向けて取り組む。

(朝倉啓介)

(シンガポール、EU)

ビジネス短信 a97abcd4b9c4d054