シンガポールとEU、デジタル貿易協定交渉が妥結
(シンガポール、EU)
シンガポール発
2024年07月31日
シンガポールのグレース・フー貿易関係担当相と欧州委員会のヴァルディス・ドムブロフスキス執行副委員長(経済総括、通商担当)は7月25日、EU・シンガポールデジタル貿易協定(EUSDTA)の交渉妥結を発表した〔シンガポール貿易産業省(MTI)プレスリリース、欧州委プレスリリース
〕。
MTIのプレスリリースによると、EUSDTAは、自由で開かれた安全なデータ流通を可能にし、エンド・ツー・エンドのデジタル貿易を円滑にできるようにし、企業および消費者にとって信頼のある安全なデジタルシステムを確立する、高水準の約束(コミットメント)で構成されている。
データ流通に関しては、電子商取引やそのほかのデジタル化された活動のため信頼のある国境を越えたデータ流通を支援するため、企業が互いの領土を越えてシームレスにデータを転送できるようにする。データを特定の場所に保存する要件を禁止することを約束する。また、個人データを保護する法的枠組みを維持することに合意する。
エンド・ツー・エンドのデジタル貿易の促進に関しては、電子決済について、国際的に認められた標準の採用と利用、さらには、相互運用性を促進し、決済サービスにおけるイノベーションと競争を奨励する。電子インボイスについて、関連する措置の実施が、双方の電子インボイス枠組み間の国境を越えた相互運用性を支援するように設計されていることを確認する。ペーパーレス取引について、輸出入または通過に必要な文書を電子形式で利用できるようにし、これらの文書の電子版を紙版と同等の法的効力を有するものとして受け入れる。また、電子的な送信に対して関税を課さない。
デジタルシステムの構築に関しては、市場アクセスの条件としてソースコードの移転またはソースコードへのアクセスを要求しない。また、消費者保護を促進するため、電子商取引における消費者に損害を与える詐欺的な商行為などを防止する措置を採用または維持する。
EUSDTAは、2023年2月に署名されたEUシンガポール・デジタルパートナーシップとデジタル貿易原則を基礎にしている(2023年2月3日記事参照)。EUSDTAの交渉開始は2023年7月に発表された(2023年7月24日記事参照)。EUとシンガポールは今後、それぞれの手続きに従い、EUSDTAの署名と締結に向けて取り組む。
(朝倉啓介)
(シンガポール、EU)
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