トヨタと米ウェイモ、自動運転技術で協業へ、個人所有車への展開も視野に

(米国、日本)

サンフランシスコ発

2025年05月02日

トヨタと米国ウェイモは4月29日、自動運転技術の開発と導入の加速に向けた協業に関し、予備的な合意に達したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。今回の協業は、安全性の向上と全ての人々への移動手段の拡充という共通のビジョンに基づくもので、トヨタのモビリティ技術部門「ウーブン・バイ・トヨタ」も参画し、新たな自動運転車両プラットフォームの共同開発を目指す。

同時に、ウェイモの自動運転技術とトヨタの車両開発における専門的知見を組み合わせ、次世代の個人所有車(POV)への技術展開も検討する。協業の具体的な内容については、今後の継続的な協議を通じて詰めていく方針だ。

この発表は、ウェイモの親会社アルファベットのスンダル・ピチャイ最高経営責任者(CEO)が4月24日の決算説明会で、POV向けの自動運転技術展開の可能性に言及した直後に行われた。なお、この決算説明会では、ウェイモの長期ビジネスモデルとして、マイアミでのムーブやオースティンでのウーバーとの協業のように、配車アプリの運営、車両整備や運用業務を分担するかたちでのサービス展開の拡大にも言及した(2025年3月17日記事参照)。

ウェイモにとって、今回のトヨタとの協業が初の大手自動車メーカーとの提携ではない。これまでジャガー「I-PACE」を用いた自動運転配車サービスを行ってきたほか、現代自動車「IONIQ 5」の導入、および中国のジーカー(Zeekr、本社:浙江省杭州市)車両の導入も発表している。ただし、POV向けの展開に関して、自動車メーカーとの協業が公表されるのは今回が初となる。

写真 (左)サンフランシスコ市内をテスト走行中のジーカー車両、(右)CESで展示された現代「IONIQ 5」車両(ともにジェトロ撮影)

(左)サンフランシスコ市内をテスト走行中のジーカー車両、(右)CESで展示された現代「IONIQ 5」車両(ともにジェトロ撮影)

日本の他の自動車メーカーによるスタートアップとの協業も進んでいる。日産自動車は4月、英国の自動運転スタートアップ、ウェイブと提携し(2025年4月24日記事参照)、自動運転技術の共同研究を進めることを発表した。また、スズキも2024年6月、国内スタートアップのティアフォーとの連携を発表しており(注)、小型モビリティ分野における自動運転の実用化を目指している。

(注)ティアフォーは、2022年日米イノベーションアワードで新興リーダー賞を受賞(2022年8月1日記事参照)。

(松井美樹)

(米国、日本)

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