米ウェイモ、シリコンバレーで自動運転タクシーサービス拡大

(米国)

サンフランシスコ発

2025年03月17日

米国のアルファベット傘下で運転手なしの自動運転タクシーサービスを手がけるウェイモ(本社:カリフォルニア州マウンテンビュー)は3月11日、同州シリコンバレーで、自動運転タクシーサービス「ウェイモ・ワン」の提供エリアを拡大したと発表した。対象地域はマウンテンビュー、ロスアルトス、パロアルト、サニーベールの一部で、合計27平方マイル(約70平方キロメートル)に及ぶ。

ウェイモはもともと、アルファベット子会社グーグルの社内プロジェクトとして2009年に発足し、その後、「グーグルX」の研究開発部門からスピンアウトし、2016年にウェイモとして独立した。同社のプロダクト部門長のサスワット・パニグラヒ氏は「シリコンバレーで完全自動運転タクシーサービスを開始することは、当社にとって特別な節目となる。ここはウェイモが始まった場所でもあり、本社がある場所だ」と述べている。

3月4日には、テキサス州オースティンでウーバーと初の協業によるサービスが開始された。同様のサービスは今後、アトランタでも展開される予定で、アフリカ・ナイジェリア発のフィンテックスタートアップ「ムーブ(Moove)」と提携し、マイアミでもサービスを開始する計画がある(2024年9月26日記事2024年12月12日記事参照)。

なお、サンフランシスコ国際空港への配車サービスにはまだ対応していない。空港敷地内でのデジタルマッピングに必要な許可を取得していないためで、引き続き空港当局と協議中とウェイモの広報担当が米ビジネスチャンネルCNBCに語った。

米国の自動車大手ゼネラルモーターズ(GM)の子会社クルーズの商業展開が頓挫した現在、ウェイモは米国の自動運転タクシー業界で先頭を走る存在となっている。一方、テスラの最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏は、運転手なしの自動運転タクシーの試験運転を2025年6月にテキサス州オースティンで開始する予定だと明らかにしている。さらに、アマゾン傘下のズークス(2024年6月11日記事参照)、ウーバー、ロシアの検索エンジンサービス企業ヤンデックスの自動運転部門からスピンアウトしたアブライド(注)などによる動きも見られ、クルーズ撤退後の市場再編を背景に、米国の自動運転タクシー市場は再び活性化の兆しを見せている。

(注)オースティンに本拠を置くスタートアップで、自動運転車、配達ロボットの開発を進めている。ウーバーや楽天と提携し、日本を含む複数地域での配送サービス展開を予定している。親会社はオランダ企業ネビウスで、ヤンデックスがロシア事業をネビウスに売却した。

(松井美樹)

(米国)

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