2024年末の日本の対外直接投資残高、アフリカは前年から24.7％増、中東は13.4％増

日本銀行が5月27日に発表した2024年末時点の対外直接投資残高（円貨）の統計によると、日本の対外直接投資残高は前年末比14.2％増の331兆137億円だった。このうちアフリカ向けは同24.7％増の1兆4,232億円、中東向けは同13.4％増の1兆2,002億円だった。

国別の対外直接投資残高では、米国向けが最大で、前年末比21.7％増の121兆9,244億円、それにオランダ（23兆7,411億円）、中国（19兆9,881億円）が続いた。中東アフリカでは、南アフリカ共和国が同22.3％増の7,008億円のほか、サウジアラビアが同7.3％減の5,516億円だった。また、アラブ首長国連邦（UAE）は同51.7％増と大幅な伸びをみせ、4,310億円となった。

分野別にみると、南アには輸送機器器具（3,150億円）や卸売・小売業（872億円）、ゴム・皮革（320億円）、サウジアラビアには化学・医薬（4,372億円）や金融（137億円）、UAEには鉱業（1,731億円）や卸売・小売業（1,173億円）への投資残高が多い。また、アフリカ全体（南アを含む）では、金融保険業（3,037億円）、鉱業（2,347億円）、中東全体（サウジアラビア、UAEを含む）では、鉄・非鉄金属分野（1,096億円）、木材・パルプ（531億円）への投資残高も多かった。

対内直接投資残高は中東7.2％増、アフリカ37.8％増

日本銀行によると、2024年末時点の日本の対内直接投資（各国・地域から日本への投資）残高は前年末比2.8％増の32兆4,946億円だった。このうち中東諸国からは同7.2％増の832億円、アフリカ諸国からは同37.8％増の343億円だった。サウジアラビアからの通信業への投資が264億円と多かった。

対外直接投資フローも増加

日本銀行の2024年の直接投資フロー統計によると、日本から世界全体への対外直接投資（フロー、円貨）は30兆9,362億円（前年比5兆827億円増）で、アフリカに1,709億円、中東には1,245億円だった（2025年5月1日記事参照）。国別では、アフリカではモーリシャスが1,215億円（金融・保険業など）で最多だった。中東ではUAEが1,451億円で最多のほか、イラク向けが51億円で続いた。

なお、直接投資額フローの長期推移（ドル建て）などの情報はジェトロの「直接投資統計」を参照。

（井澤壌士）