ノンアルコールビール生産量が20年で倍増

(ドイツ、米国)

デュッセルドルフ発

2025年05月01日

ドイツ・ビール醸造者連盟(DBB)は4月16日、ノンアルコールビール生産量がこの20年間で倍増したと発表した(プレスリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。

ドイツには現在、約1,500のビール醸造メーカーが存在するが、それらのメーカーが800種類にも及ぶノンアルコールドリンク(ノンアルコールビールを含む)を販売しているとDBBは推定している。近年の消費者の健康志向や飲酒習慣の変化に伴って、ノンアルコールビールや、ノンアルコールビールが入った混合飲料への需要が高まり、2024年の生産量は2004年(約3億2,900万リットル)に比して、2倍以上の約7億リットルに増加した。ノンアルコールビールは人気の高いカテゴリーとしてビール全体の第3位にランクインし、ピルスナービール(市場シェア約48%)、ヘレスビール(同約11%)(注)に次ぎ、国内全体のビール販売量の約9%を占めた。

なお、ドイツ連邦統計局によると、2024年のビール(ノンアルコールビール類を除く)の販売量は約82億4,610万リットル(前年比1.4%減)で、長期的な減少傾向が続いている。うち国内販売量は総販売量の82.4%に当たる67億9,370万リットル(前年比約2.0%減、10年前の2014年との比較で15.1%減)だった一方、国外販売量(輸出量)は約14億5,240万リットルで、前年比1.6%の増加を記録したものの、10年前と比較すると6.0%減と、緩やかな下降傾向にある。

2024年の輸出先としては、重量ベースで米国(約60万608トン)、イタリア(約35万5,795トン)、中国(約13万2,914トン)、ロシア(約12万1,833トン)、オランダ(約7万5,222トン)、フランス(約7万4,991トン)の順となっている。米国に輸出する缶ビールについては、アルミ缶の価格に対して25%の鉄鋼・アルミニウム関税が4月4日から適用されていること(2025年4月7日記事参照)に加え、翌5日以来、10%のベースライン関税も課されている(2025年4月11日記事参照)。90日間の相互関税停止の期限内に米EU間の通商交渉が進展しない場合、関税率は最大20%に引き上げられる可能性があり、業界への影響が懸念されている。

(注)ピルスナーは、チェコを発祥とする下面発酵ビール(ラガー)で、澄んだ黄金色とポップの爽快感と苦味を特徴とする。へレスは、南ドイツ(ミュンヘン)を発祥とするラガーで、ピルスナーよりも苦みが抑えられ、麦芽の甘みを感じられるビール。

(マリナ・プタキドウ、櫻澤健吾)

(ドイツ、米国)

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