米税関、追加関税の累積停止に伴う関税還付請求の受け付け開始
(米国)
ニューヨーク発
2025年05月19日
米国税関・国境警備局(CBP)は5月15日、追加関税の累積停止に伴い、輸入者が既に支払った関税の還付請求を5月16日から受け付けると発表した。
ドナルド・トランプ大統領は4月29日、(1)1962年通商拡大法232条に基づく自動車・同部品に対する25%の追加関税、(2)国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づくメキシコとカナダの原産品の原則全品目に対する25%の追加関税、(3)232条に基づく鉄鋼・アルミニウム製品に対する25%の追加関税の累積を停止する大統領令を発表していた。具体的には、(1)~(3)の順で優先度が高く、(1)自動車・同部品への追加関税の対象になっている場合は、(2)メキシコとカナダ原産品と(3)鉄鋼・アルミ製品への追加関税の対象にならず、(2)メキシコ・カナダ原産品への追加関税の対象(自動車・同部品を除く)になっている場合は、(3)鉄鋼・アルミ製品への追加関税の対象にならないと整理されている(2025年4月30日記事参照)。
3月4日以降の輸入にさかのぼって適用されるため、上記のルールに従って支払いが不要となった関税をこれまでに負担した企業は、関税清算前であれば事後修正(PSC、注1)、清算済みの場合は異議申し立て(protest、注2)を行うことができる。
なお、(1)自動車・同部品に対する追加関税の優先順位が最も高いため、同関税措置に対する還付は行われない。また、(1)~(3)に該当しない一般関税率(MFN税率)や、中国原産品に対するIEEPAや1974年通商法301条に基づく追加関税も還付の対象外となる。
(注1)税関の電子申請システム(ACE)を通じて申請できる。PSCの詳細はCBPのウェブサイト、ユーザーズガイド
参照。
(注2)清算から180日以内に輸入者、代理人または弁護士がCBPに対して異議申し立てをできる。通常、CBPフォーム19というフォーマットが利用される。詳細はCBPのウェブサイト
参照。
(赤平大寿)
(米国)
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